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43.人を助ける理由

 何とか城の背後から侵入した俺達。


「ちょ、もうちょっと命を大切にしなさいよ!!」


 王女がやかましくそんな事言ってくるが、無視無視。


「しかし、ロケットランチャーでここまで壊れるか……結果的にOKだが」


 よく見ると、城の背後の壁にも人が入れるほどの穴が開いている。


「わ、私の家がぁぁぁ!!」


 王女が騒がしくてちょっと面白くなってきた。


……さて


「行きますか」


 俺は城の裏に空いた穴から中に入ろうとする。


「おいサクヤ、これ持っていけ!!」


 テルさんが俺に何か棒状のものを投げて来たので、俺はそれを受け取る。


 それは、見た目が派手な、ファンタジーとかでよく見る一振りの剣だった。


「これは?」


「ユートさんからの餞別だ。初代勇者の剣だってよ。お姫様を助けに来た王子が武器無しじゃ恰好付かないだろ?」


 ユートさんからか、なんだかんだユートさんには助けられてるな。


 ワイルドカードといい、この世界の仕組みを教えてもらった事といい、そしてこの剣。


 ここまでやってくれたんだ……覚悟を決めろ。


「ありがとうございます! それじゃ……行ってきます!!」


「おう、俺達はここを死守する!! 頑張れよ!!」


 俺とマナちゃんと王女は城の中に突入する。


 目指すはエナちゃんとシンゴの安全の確保、だが、もし国王……魔王だったか? 遭遇してしまったなら……仕方ない、倒すまでだ。


「で、俺は王城のマップが分からないが、王女は分かるか?」


「任せなさい!! 最短で牢まで案内してやるわ!! 捕えられたならきっとそこにいるはずよ!!」



「しっかし驚いたなぁ」


 サクヤ達が城内に侵入してしばらく後、テルがそう呟く。パーティーを組んで長い付き合いのエイジが驚くような顔でテルを見る。


「ん? 何がだ?」


 エイジは知っている。テルは大ざっぱな性格であり、あまり物事に驚くような事は無いのだ。


「いやね、リョウがこんな作戦を手伝おうとした事がだよ……お願いした俺が言う事じゃないのかもしれないが」


 戦闘能力が無いリョウは車の運転席に座って居る。エンジンはつけたままだ。


 いつ敵が襲ってきて劣勢になっても、すぐに逃げられるように、だ。


「さあ? 理由なんて人それぞれだろ。ヒビキなんて、半裸の自分を笑わなかったってだけで協力してるぞ」


「うええ、なんだそれ」


 すごく単純な理由だ。それを聞いたリョウが車の中から話に入ってくる。


「ヒビキと一緒にされたら困るから言っておくが、俺は最速理論を継げる愛弟子を助けただけだぞ」


 サクヤが断ったにも関わらず、リョウはサクヤの事を愛弟子と呼ぶ。本人が聞いたら全否定されそうだが。


「あー、さいでっか。……クラヒトはどうして助けるつもりになったんだ?」


 勝手に人の事を弟子と言い切ったリョウは置いておいて、テルはクラヒトにも話を聞く。


「友を助けるのに、理由がいるかい?」


 クラヒトは周囲を警戒しつつ、顔だけテルの方に向けてそう告げる。


「けっ、スカした事いいやがって。エイジは?」


「奴は鍛えればどこまでも強くなるだろう……それこそ、ゾンビで埋め尽くされた都市でも生き抜けるような。俺はそこまでヤツを鍛えたい」


「お前もサクヤの事を弟子にでもする気かよ!!」


 やべぇ、こいつやべえ、とテルは考える。


 なまじ、言葉に出して勧誘したリョウの方がまだ誠意があると思う。


「まったく、お前ら変な理由ばっかりじゃないか」


「む? そういうお前はどうなんだ?」


 テルはよく聞きました、と言わんばかりにドヤ顔をして、自信満々に言い放った。


「サクヤと俺達は一緒にメシ食った仲だからな!! 助けて当たり前だ!!」


「お前の理由が一番しょーもない気がするが……そうだな、理由なんて何でもいいな!!」

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