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14.はじめてのばくだん

 さて、崖から転落しそうになったツムギちゃんをマナちゃんが妨害で救うという、ちょっとしたハプニングはあったものの、その後は特に波乱も無い、至って普通の冒険者生活を送っていた。


 あの後は普通に山菜を収穫し、冒険者ギルドに納入。なんと1日で1人あたり金貨5枚を稼ぎ出した。


 その後もコンスタントに1日金貨3枚程度は稼げるようになり、懐もそれなりに余裕が出来た。


 朝に宿を出る時にアンナさんかエナちゃん、もしくは両方に夕食の予約と行ってきますを伝え宿を出る。


 既に宿は1か月程度の滞在までお金を払い、もはや第二の我が家状態である。


「あ、サクヤくん、こっちこっち!!」


 ハルカさん、ツムギちゃん、マナちゃんとパーティーを組むのもほぼ日常化していた。


 クエストが早く終わった時はハルカさんたちから文字を教えてもらい、充実した生活だった。


「サクヤくんももうそろそろ討伐任務とか受けてもいい頃合いかもしれないね。それじゃ、スカウトオーブ買いに行こうか?」


「スカウトオーブ?」


「ステータスを確認する水晶。王城にあった大きいのは流石に高いけど、体力と精神力を表示する程度のオーブなら金貨2枚くらいで買える」


……俗に言う、HPとかMPとかを数値化出来るアイテムがあるそうだ。確かに、戦いをするには体力の残りを確認出来た方が安全だろう。


 俺はハルカさんたちの勧めるがまま、スカウトオーブを購入し、自分のHPを確認してみた。


『HP:9999/MP:999』


 これは、オーブ毎に表示が違うのだろうか?


「そんな事は無いよ? 本人の数値がそのまま表示されるだけだから、ほら」


 試しにハルカさんが俺のオーブでハルカさんのHPなどを表示をしてみると


『HP:14/MP:18』


 と表示された。逆にハルカさんのオーブで俺がステータスを表示してもステータスの値は俺のオーブで表示した時と同じだった。


 ステータスが統一されてないから分り辛いなぁ……。


 こうして、俺の生活基盤が整い、慎吾をどうにかして救出しないとと思った時、事件が起きた。


 それは俺がいつも通りの日常を過ごしていた時だ。


 そういえばここ数日は俺の外出の時間と帰宅の時間が合わずに、エナちゃんと会話出来てないなぁ、アンナさんと会話した記憶が無いなぁ、などと考えていた。


「……電話」


 実を言うとこのスキルはここ数週間、というか、ハルカさんたちに会った日に使って以降は封印していた。


 理由としては、人の心を勝手に覗き込んでいるようで申し訳無いと思ったからだ。


 本当は良くない事だとは分かっているのだ、それでも……会えなかった数日で嫌われては無いだろうか、などと焦燥感に駆られ自ら使うまいと封印したはずのスキルを使ってしまうあたり、本気でエナちゃんに惚れてしまってるのだろうか。


 などと、気恥ずかしい気持ちになり、苦笑いをしながら電話画面を見……俺の血の気が引く。


 そして、俺は何故以前この画面を見た時に、この画面がいつもよりにぎやかだと感じたのか、ゲームをしている時に俺は何を恐れていたのかを思い出した。


********

エナ(爆弾) ☆☆☆☆☆

ニーア(爆弾)♪・・・・

ハルカ    ♪♪♪・・

ツムギ    ☆☆☆☆・

マナエ    ハート4つ

アンナ    ♪♪♪・・

********


 エナちゃんとの関係性が5段階目になっててうれしいとか、マナちゃんがいつの間にか恋愛感情状態になってるとか、正直そこよりも……


 そう、俺のやっていたゲームその好感度システムの最大の脅威にしてラスボスである、爆弾が表示されていた。


 爆弾表示、これは「主人公に暫く会えなかった事に対する不満」の表示であり、ヒロインと主人公の関係性に関係なく、主人公との接触が途切れると発生するのだ。


 そして、エナちゃんは恐らく爆弾が付きやすい。言い方を変えれば嫉妬深いのかは分からないが、数日会わない程度で危機的状況にはならないはず。だから、爆弾は付いた直後だと思われるのだが、問題はニーアさんの爆弾である。


 爆弾も段階を踏み爆発のカウントダウンが進み、最終的に爆発するのだが、ニーアさんの爆弾はもはや爆発寸前。ヤバイヤバイ!!


 エナちゃんはまだ余裕はあるかもだけど、ニーアさんの方は多分、明日中に処理しないと……


 そうだ、もしギルドで会えない時の為、家を訪ねよう!! 確か住所を教えてもらってたはず……


 こっちの世界に来て俺もある程度は文字を読めるようになったんだ!! さて、ニーアさんの住所は……


…………


……


 あはは、もう手遅れじゃないか……


 住所は解読出来た、だが、その後に続く情報。これはもう、爆弾爆発までの猶予が無い事を示している。


 教えてもらったニーアさんの住所の紙の下の所、そこにしれっと書いてある情報……ニーアさんの誕生日。


 それが、もうそろそろ日付の変わる今日なのであった。


――カチッ、と、時計の針が頂点を指し、日付の変わった事を示す、それと同時に……


――ドガーン


 と、何かが爆発する音が聞こえた気がした。


「うっ!!」


 その瞬間、俺の身体を鈍い痛みが襲う。これは申し訳なさからくる心の痛みか、それとも、本当にダメージを受けたのか?


 何となくスカウトオーブを確認すると……そこに表示されたHPが9499となっていた。500ダメージを本当に受けている。


……もしかして、女性の好感度を稼いでおかないとこうやってダメージが蓄積し、冒険者としてもマイナスの影響が出るのか?


 非常に厄介だ。これからはちゃんと好感度も確認しないと……ともかく、ニーアさんの爆弾が爆発した影響がどこまで派生してるかを確認しないと……


「で、電話!!」


 俺はもう一度好感度表示を確認し、そして、頭を抱えた。


 ニーアさんの好感度は爆弾の効果で0になっている、そこまではいい。いや、よくないけども!!


 問題はこれ、ニーアさんの爆弾の爆発にチェーンして、ハルカさん、ツムギちゃん、アンナさんにも爆弾が付いてしまっている事だ。


 さらに、エナちゃんの爆弾、これが「まだ余裕がある」状況から、爆発寸前になっているのだ。


 やばい、これは明日の午前中くらいには処理しないと、エナちゃんの爆弾も爆発する!!


 さらにその爆発にチェーンして、またニーアさんが爆弾を作ったり、その爆発で他のハルカさんたちの爆弾が爆発したりするのだ。


 まさに泥沼状態。仮に俺が「恋愛を捨てるぞ!!」なんて考えて冒険者生活を充実させるにしても、爆弾が爆発するに従って俺のHPが削られるとなると、それも無理だろう。


 仕方ない、爆弾処理とニーアさんのフォローをしなければ……いや、責められる覚悟で、ニーアさんには誠心誠意、謝りたい。


 俺に最初に居場所をくれたのはエナちゃんだが、右も左も分からない俺を最初に受け入れてくれたのは、ニーアさんなのだから……


 そんな恩人を傷付けたまま放置したとなれば、自分で自分の事を許せない。

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