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剣士
「今すぐ一緒に王都へ来て頂けませんか。これはバキュラ王たっての懇願です。拒否すればどうなるか分かりません」
控室に戻り、荷支度を始めた折、白髪の老紳士がルキアに話しかけた。
「申し遅れました。私はバキュラ王の執事をしております。オリヒアと申します」
ルキアにとって願ってもいない申し入れだった。元より、雷地大震蔡に参加したのは王都へと向かうためだ。その為に十年間、身体と剣術、更には人身掌握術など。血の滲む鍛錬を重ねたのだ。その努力が身を結んだ瞬間だった。
火で包まれた村。村人の悲鳴。涙に濡れた母の顔を嫌でも思い出す。
こいつがあの憎きバキュラの執事。
はらわたの煮えくり返りそうな強烈な怒りがルキアの心を染める。しかし、表情には出さない。
「オリヒア様。断るなんて滅相も御座いません。是非王都へと連れて行ってください。バキュラ王の剣となり、必ずや、お役に立つことを約束します」
ルキアは満面の笑みを作り、応えた。