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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと春のきせつ
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小助くんと犬の家ぞく

 小助は、子犬といっしょに森のおくへどんどんすすんでいきます。子犬のお父さんとお母さんがどこにいるのか、まわりをキョロキョロと見回しています。


「さっきみたいなこわい犬があらわれませんように……」


 子犬は、あいかわらずこわがってばかりで小助の右足にしがみついています。これを見た小助は、かわいいえがおで元気な声を出しました。


「大じょうぶ! 大じょうぶ!」

「本当に大じょうぶ?」

「いつもいっちょ(いっしょ)! いっちょ!」


 小助は、赤ちゃんみたいに4本足になって子犬といっしょに歩くことにしました。これなら、子犬と目を合わせて話すこともできます。


「ワンワン! ワンワンワン!」

「小助くん、もしかして犬になりたいの?」

「うん!」


 ふしぎそうに見つめる子犬のそばで、小助はかわいい犬になりきってワンワンとほえています。小助は、子犬といっしょに4本足でおくのほうへすすんでいます。


 子犬は、歩きながらじめんをはなでクンクンとにおいをかいでいます。


「ねえねえ! どうちたの(どうしたの)?」


 小助が声をかける中、子犬はクンクンしながらおくのほうへ歩いています。子犬がとちゅうで立ち止まってじめんのにおいをかいでいると、山おくへ向かっていそぎ足でかけ出しました。


 その後をおうように、小助も2本足で立ち上がって走り出しました。子犬が走りかける先には、やさしい顔つきをした2ひきの犬がいます。


「父ちゃん! 母ちゃん!」


 子犬は、お母さんのそばへかけよるとその場でなきつづけています。子どもがお父さんとお母さんのそばにいたいのは、人間も犬も同じです。


「うえええええ~ん! ごめんなさい……」

「そんなにあやまらなくても大じょうぶだよ」

「あまりないてばかりだとみっともないぞ」


 お父さんとお母さんは、ないている子犬にやさしく語りかけています。そのことばを聞いて、子犬はしだいになきやんでえがおを見せるようになりました。


 犬の家ぞくは、まいごになっていた子犬がぶじにもどってきたのでとてもうれしそうです。後ろのほうからは小助のすがたも見えてきました。


「おや、こんなところに人間のぼうやがいるなあ」

「どうしたの?」


 犬のお父さんとお母さんが小助に話しかけると、子犬が小助のそばへよって口をひらきました。


「小助くんがまいごになったぼくをたすけてくれたよ!」


 子犬のことばを耳にした犬の家ぞくは、小助におれいをしようと近づきました。


「小助くんという名前なんだね」

「まいごになったぼうやを見つけてくれてありがとうね」


 子犬のお父さんとお母さんは、小さい人間の男の子のしっかりしたようすにかんしんしています。そんな小助は、子犬のお母さんにあまえようとかわいい声でいつものおねだりをしようとします。


「かあちゃ、おっぱい! おっぱい!」

「あらあら、そんなにおっぱいがのみたいんだね」

「うん!」


 小助はじめんにあお向けになると、犬のお母さんのおっぱいをのみはじめました。そばにいる子犬は、人間の子どもが犬のおっぱいをのんでいるようすをじっと見ています。


「小助くん、おっぱいをのむのが大すきなの?」

「おっぱい、だいちゅき(大すき)!」


 小助がいつも元気なのは、人間やどうぶつのおっぱいをのんでいるおかげです。お母さん犬は、人間のかわいい子どもが自分のおっぱいをのんでくれることにうれしさをかくせません。


 こうしておっぱいをのみおえた小助は、あお向けになったままでかわいいあんよを上げました。そのすがたを見ようと、子犬が小助のそばに近づいたその時のことです。


「ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 犬のお母さんのおっぱいをのんだばかりとあって、小助はかわいいえがおを見せながらおしっこをしています。


「小助くん、おしっこいっぱいでちゃったね」

「わあ~い! おちっこ(おしっこ)! おちっこ!」


 小助がおしっこをするようすに、お母さん犬もほほえましそうに見つめています。

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