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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと春のきせつ
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イモ畑の小助くんとイノシシたち

 山おくにいろんな花がさき出すころ、小助はお母さんといっしょに近くのイモ畑へ向かってあるいています。お母さんよりも先に畑の中へ入ると、おしりをおさえながらその場でしゃがみました。


「うんっ! うんうんっ! う~んんんんんんんっ!」


 お母さんが小助のそばへくると、畑の上にあるものを見ながらほほえんでいます。小助のほうも、お母さんのやさしい顔を見るのがとてもうれしそうです。


「かあちゃ! いっぱい出た!」

「ふふふ、今日もうんこがたくさん出たね」


 イモ畑の上には、小助がしたばかりのでっかいうんこがのっかっています。これだけの元気なうんこが出たのは、小助がいつも大きなイモを食べたり、お母さんのおっぱいをのんでいるおかげです。


 お母さんが畑の上にあるうんこをこやしとしてたがやしている間、小助はたねイモを畑の中へつぎつぎとうえていきます。このたねイモをうえると、秋には大きいイモがいっぱいみのります。


「小助くん、イモが大きくみのるといいね」

「うん!」


 小助は、お母さんの言葉に元気な声でへんじをしました。そのすがたに、お母さんも小助の目を合わせるようにじっと見つめています。


 自分の子どものかわいい顔を見るのがうれしいお母さんですが、どうしても気になることが1つだけあります。それは、イモ畑をあらそうとするあのどうぶつのことです。


「どうか、秋にはりっぱなイモがそだちますように」


 お母さんが小さな声でねがいをつぶやいているその時、イモ畑にイノシシが何びきもあらわれました。そのすがたを見て、小助はイノシシのところへ行こうとかけ出しました。


「いっちょにあちょぼう(いっしょにあそぼう)! いっちょにあちょぼう!」


 小助は、イノシシとあそんでともだちになりたがっています。でも、イノシシたちは小助とあそぶためにここへきたわけではありません。


「おい! あそびにきたわけでは……」

「あちょぼう! あちょぼう! あちょぼう!」


 イノシシがどんなにさけんでも、小助の耳にとどくことはありません。小助からすれば、イノシシたちは自分といっしょにあそんでくれるあいてだと思っています。


「ねえねえ! あちょぼう! あちょぼう!」

「わっ! こんなことをしている場合じゃない!」

「とりあえずにげろ!」


 小助とあそんでいたら、イノシシはいつまでたっても畑の中へ入ることができません。イノシシたちは、このままではたまらんと遠くのほうへにげて行きました。


 お母さんのほうはイノシシがにげてくれてホッとしているようすですが、小助はイノシシとあそぶことができなくてちょっぴりざんねんそうです。


「またいっちょにあちょぼう!」


 それでも、小助はこんど会ったらイノシシたちといっしょにあそびたいとうれしそうにピョンピョンとびはねています。

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