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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんの雪あそび
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雪の中のおすもうたいけつ(その3)

 小助とゴロ太が土ひょうで見合う中、山べえがぎょうじとして合図を上げました。


「はっけよい、のこった!」


 ゴロ太の強いつっぱりを食らった小助は、土ひょうの外へおし出されないように何とか食い下がっていきます。


「ちっ、あいかわらずしぶといなあ」

「んんんんんんんんん~っ! よいしょ! よいしょ!」


 小助はゴロ太のふんどしをつかむと、ありったけの力で一気に土ひょうのまん中までおしつづけています。しかし、ゴロ太もここで小さい子どもにまけたりしたら元も子もありません。


「なかなかやるなあ。だが、おれの力はこんなものではないことを教えてやるぜ!」

「わわっ!」


 ゴロ太は、すばやいうごきで小助をすぐさま雪の上におしたおしました。


「どうだ! これがおれの力だってことを思い知ったか!」

「てへへ、まけちゃった」


 ゴロ太のすばやさと力強さの前には、さすがの小助もかないません。それでも、小助はあいかわらずえがおを見せながら立ち上がりました。


「おちゅもう! おちゅもう!」

「だから、おすもうはおれがかったの!」

「おちゅもうちよう! おちゅもうちよう!」


 小助は、おすもうをもういちどやりたいとゴロ太にしがみつきました。ゴロ太は、かわいい声を上げる小助のすがたをじっと見ています。


「しょうがないなあ、もう1回だけだぞ」

「わあ~い! おちゅもう! おちゅもう!」


 土ひょうの上では、小助とゴロ太がふたたびおすもうをしようと見合っています。ゴロ太は、今回も小助にかって自分がもっとも強いことをしめしたいところです。


「はっけよい! のこった!」


 山べえの合図とともに、小助とゴロ太は土ひょうのまん中でおたがいにぶつかり合っています。


「んんんんんんんん~っ! うんしょ! うんしょ!」

「はっはっは! そんなことをやって、このおれにかてるかな?」


 ゴロ太は、自分の強さを小助に見せつけようとはげしいつっぱりをくり出しています。けれども、小助はゴロ太にまけたくないと目いっぱいの力で向かっていきます。


「ぐぐぐぐぐっ! ぐぐぐぐぐぐぐっ!」

「あんなに小さい子が、どこからあんな力を……」

「うんしょ! うんしょうんしょ!」


 小助はすさまじい力でゴロ太をおしつづけていると、右足を雪の上ですべらせました。そのいきおいで、小助はゴロ太の体にたおれかかるようにつっこんできました。


「わっ! こっちにくるな! わわわわわっ!」


 ゴロ太は思わずさけび声を上げましたが、さいごは小助におしつぶされるようにたおれこんでしまいました。


「わ~い! おちゅもうにかった! おちゅもうにかった!」

「ぐぬぬっ……。けっきょく、今回もしょうぶはあいこということか」


 小助が大よろこびしているようすに、ゴロ太はくやしさをかくすことができません。


 そんな時、かみなりらしき音がゴロ太の耳に入ってきました。ゴロ太はあわてて空のほうを見上げましたが、うすぐらい雲からゴロゴロと鳴るけはいは見られません。


「ゴロゴロゴロゴロッ、ゴロゴロゴロゴロゴロッ……」

「へんだなあ、もしかして……」


 ゴロ太が後ろへふり向くと、そこには小助がかわいくて明るいえがおを見せています。よく見ると、小助の手前にはでっかくて元気なうんこが雪の上にのっかっています。


「てへへ、うんこ出ちゃった」

「もしかして、さっきのは小助のおなかの音だったのか」


 どうやら、小助はガマンできずに雪の上でうんこをしてしまったようです。ぎょうじの山べえは、小助のうんこをかんしんそうに見ています。


「あいかわらずでっかいなあ。いつも元気だからこんなにいっぱい出るのか」

「キャッキャッ、キャッキャッ」


 小助のおすもうでの力強さとうんこの元気さには、ゴロ太も山べえもまけてしまいそうです。

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