雪の中のおすもうたいけつ(その2)
「あいかわらず元気なのはいいけど、そっちばっかり向いていたらいけないぞ」
「おちゅもう(おすもう)! おちゅもう!」
小助と山べえは、雪の上にある土ひょうでおたがいに顔を合わせながらかまえています。
「はっけよい、のこった!」
ゴロ太のかけ声をうけて、小助は大男の右足をつかみながらおしていきます。けれども、体つきが二回りも大きい山べえをおし出すのはかんたんなことではありません。
「ぐ、ぐぬぬぬっ……。これがおれの力だ!」
「うんしょ! うんしょ! う~んしょ!」
山べえは小助を土ひょうの外へ出そうとしますが、大男に向かって力強さを見せる小助もまけていません。
「よいしょ! んぐぐぐぐぐぐっ……」
「な、なぜだ……。あんなチビがこんなに強いとは……」
小助のものすごい力に、こんどは山べえが土ひょうの外へ出されそうになりました。山べえは、何とかふみとどまろうとひっしになっています。
しかし、小助の力強さは山べえがよそうしていたよりもはるかにすさまじいものです。
「うぐぐぐぐぐっ! うぐぐぐぐぐぐっ! うんしょうんしょ!」
「う、うわっ、わわわわわわわわ~っ!」
山べえは、小助のはげしいおしずもうの前に後ろから土ひょうの外へたおれこんでしまいました。でっかい体つきのあいてにかったとあって、小助はえがおを見せながらピョンピョンとびはねています。
「わ~い! わ~い……。わわっ!」
小助は大よろこびでとびはねているとちゅうで、雪の上に足をすべらせてしりもちをついてしまいました。
「はっはっは! そんなことじゃあ、おれにかつことなんかできないぜ」
「てへへ」
ドジをふんでしまった小助のようすに、ゴロ太はわらい声ではやしたてます。でも、小助はそんなことを言われても気にするそぶりを見せません。
「おちゅもうちよう(おすもうしよう)! おちゅもうちよう!」
「そんなにおれとおすもうをしたいのか」
「ちたい(したい)! ちたい!」
小助はゴロ太にしがみつくと、おすもうがしたいとなんどもおねだりしています。これを見たゴロ太は、小助といっしょにおすもうをとることにしました。
「おちゅもう! おちゅもう!」
「まったく、小助はおすもうをするのが本当にすきなんだな」
大すきなおすもうができるとあって、小助は土ひょうの上で元気いっぱいにはしゃいでいます。ゴロ太のほうも、雪の上で小助とのおすもうにかちたいと強く思っています。




