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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんの雪あそび
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雪の中のおすもうたいけつ(その1)

 小助は、おすもうをするのが大すきです。今日も、森の中にある大きな木をおしたりしながらおすもうのけいこをしています。


 でも、いつもだったらおすもうあそびをしてくれる子グマたちはいません。クマの子どもたちは、お母さんグマといっしょに冬ごもりをしているからです。


「おちゅもう! おちゅもう!」


 小助は、おすもうのけいこをしてくれるあいてをさがそうと森のおくにあるつりばしへ向かいました。歩くたびに、小助は雪の中にすっぽりと体が入ってしまいます。


 それでも、小助は雪の中に体が入ったままでそのまますすんで行きます。


「わ~い! わ~い!」


 小助にとって、ふりつもった雪の中であそぶのが大すきです。雪のふかいところをすすむと、谷をこえるためのつりばしが見えてきました。


 ふかい谷からふきつける風をうけながら、小助は雪のつもったつりばしをあるいていきます。


「おちゅもう! おちゅもう! おちゅもう!」


 小助がこれから向かうところは、つりばしの先にある大男の山べえがくらすほらあなです。山べえだったら、小助のおすもうのあいてとしてぴったりだからです。


 雪がはげしくふる中、小助は山べえがいるほらあなの前へやってきました。そのほらあなに向かって、小助は元気で大きな声でよびました。


「ねえねえ! おちゅもうちよう(おすもうしよう)! おちゅもうちよう!」


 小助の元気いっぱいの声に、山べえはあわててほらあなから出てきました。雪の中をあるいてきた小助のすがたに、山べえはしゃがんでじっと見ています。


「こんな雪の中でおすもうがしたいのか」

「おちゅもうちたい(おすもうしたい)! おちゅもうちたい!」

「そうかそうか、それならおすもうのあいてをしようかな」

「わ~い! わ~い!」


 小助は雪の中にうまっている太い木のえだをとり出すと、雪の上にまるい線をえがきながら土ひょうを作っています。


「おちゅもう! おちゅもう!」

「そんなにおすもうがしたいのなら、おれも本気を出さないといけないなあ」


 山べえは土ひょうへ入ると、自分の力を小助に見せつけようと右うでをまげています。右うでの力こぶを見せる山べえのすがたに、小助はえがおで大はしゃぎしています。


「ちゅごいちゅごい(すごいすごい)!」

「おれって、そんなにすごいのか……」


 小助のよろこぶ顔を見て、山べえはとまどいをかくせません。それでも、山べえは小さい子どもよりだんとつで強いという気もちで向かい合っています。


 その間にも、はげしくふりつづく雪とともにうすぐらい雲からゴロゴロという音が鳴りつづけています。


「ゴロゴロゴロ……。ピシャン! ピシャーン!」


 はげしいかみなりの音がなんども鳴りひびく中、小助は山べえを前におすもうをとるのが楽しみでたまらないようすです。


 そんな時、聞きおぼえのある声が空から聞こえてきました。


「おい! ぎょうじがいないとおすもうははじまらないぞ」

「わあ~っ! ゴロ太くん! ゴロ太くん!」


 空からおりてきたのは、おすもうで小助にかったことがあるかみなりの男の子のゴロ太です。小助は、ゴロ太にふたたび会うことができて大よろこびです。

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