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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんの雪あそび
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雪の上のいろんな足あと

 古びた小さな家がある山おくにも、いよいよ冬がやってきました。


 雪がふりつもった中であっても、小助はいつものように元気に森の中へ向かって歩いています。そのとちゅうで立ち止まると、小助は自分の足元をじっと見ています。


「わあ~っ! 足あと! 足あと!」


 小助は、うれしそうな顔つきで雪の上にある足あとを見ています。自分の足あとがどんなものか見せようと、小助は森のおくへかけ出しました。


 雪の上には、小助とはちがう形の足あとがあります。その先には、オオカミたちのむれがいます。


「ねえねえ! あれなあに? なあに?」


 子どものかわいい声にふり向いたお父さんオオカミは、小助のそばに近づくとやさしい声で話しかけました。


「これはねえ、足あとというものだよ。ぼうやも足元を見てごらん」

「足あと! 足あと!」

「そうそう、これがぼうやの足あとだよ」


 小助は、雪の上についた自分の足あとに大はしゃぎしています。ちびっこオオカミも、足あとを見てもらおうと小助のそばへやってきました。


「オオカミの足あと! オオカミの足あと!」

「小助くんの足あと、こんなにでっかいんだね」


 オオカミの子どもたちは、人間の子どもの足あとが大きいことにびっくりしています。子どもたちの賑やかな声が聞こえる中、後ろから2ひきのどうぶつが近づいてきました。


「人間にうまくばけることができるのはおれのほうだぜ、へへへ」

「何だと! 上手にばけるのはぼくのほうだい!」


 キツネとタヌキは、どっちが上手にばけることができるのかで言いあらそっています。そんな時、小助はキツネとタヌキの足元を見てはしゃぎ声を上げました。


「わ~い! 足あと! 足あと!」


 2ひきのどうぶつは、小助のはしゃぎぶりにとまどっています。キツネとタヌキは、自分の足あとをたしかめようと雪のつもったじめんを見ています。


「おれの足あとはこんな形をしているとは……」

「いつも気づかなかったけど、ぼくのはこんな足あとだったんだ」


 雪の上では、自分たちの足あとがはっきりと分かります。しかし、小助もどうぶつたちもいつも足あとを見るわけではありません。


 どうぶつたちが小助のまわりにあつまると、みんなで足あとをペタペタつけながら雪の上を走り回っています。


「わあ~っ! 足あと! 足あと! 足あと!」

「みんなの足あとがいっぱいだね!」


 オオカミのお父さんとお母さんが小助たちのそばへやってくると、雪の上に子どもたちがいっぱいつけた足あとをじっとながめています。


「いろんな足あとがあるけど、やっぱりぼうやの足あとはよく目立つなあ」

「足あと! 足あと!」


 みごとにできあがった足あとのお絵かきに、小助はみんなの前でうれしそうな顔つきを見せています。そんな時、小助ははらがけの下をおさえながら大きな木のそばへ近づきました。


「ジョジョジョ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 小助が大きな木に向かっておしっこをしていると、そのおしっこのめいちゅうした木のねっこがこおりつきました。


「おおっ! こっちのほうもすごいなあ」

「てへへ、おちっこ(おしっこ)出ちゃった」


 お父さんオオカミが声をかけると、小助はかわいい顔つきでえがおを見せています。小助たちのにぎやかな声は、雪のつもった森の中にひびきわたっています。

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