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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと秋の大自ぜん
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小助くんと秋の大ぼうけん(その1)

 秋がふかまったこの日、小助たちは森のさらにおくへかけ足で走っています。いつも元気いっぱいの小助が一足早くかけぬけると、子グマやタヌキ、キツネといったほかのどうぶつたちがその後をおっています。


「ねえねえ、どこまで行くの?」

「あっち! あっち!」

「小助くん、あっちじゃ分からないよ」


 小助がこれから向かうところは、今まで立ち入ったことがないばしょです。どうぶつたちは、目の前にあらわれたのを見ながら足がふるえています。


「ここをわたるの、こわいよ……」

「ほかのところへ行こうよ」


 どうぶつたちがこわがっているのは、向こうまでつづいているつりばしです。つりばしの下を見ると、そこにはものすごくふかい谷があります。はしからふかい谷へおちたら、生きてもどることはできません。


 そんなこわいところであっても、小助はつり橋をわたるのが楽しみでたまりません。


「いっちょ(いっしょ)に行こう! いっちょに行こう!」


 小助の元気なかけ声に、ほかのどうぶつたちはおそるおそると後をついていくことにしました。つりばしに足を入れると、はらがけ1まいの小さい体ですすんでいきます。


「ねえ、先に行かないでよ」

「こ、こわいよう……」


 子グマをはじめとするどうぶつたちは、つりばしを少しずつ歩くたびに足がふるえるばかりです。そんなようすを見ている小助は、早く先へすすみたがっています。


「早くちようよ(しようよ)! 早くちようよ!」

「そんなこと言ったって……」

「谷へおちたらしんでしまうよ……」


 いつもえがおの小助にたいして、キツネとタヌキはゆれるつりばしの上で立ち止まったままです。


「いっちょ(いっしょ)! いっちょ!」

「しょうがないなあ」

「まったく、小助の元気さにはまけてしまうぜ」


 こうして、小助たちはつりばしのとちゅうからふたたび歩きだしました。ほかのどうぶつたちも、小助といっしょならこわくありません。


 はしの向こうがわへたどりつくと、小助はその場からふかい谷をながめています。


「わあ~っ! ちゅごい(すごい)! ちゅごい!」


 あいかわらず大はしゃぎの小助のそばでは、どうぶつたちがすわりこんでうごこうとはしません。


「やっぱりこわいよ……」


 どうぶつたちがこわがっているのは、がけの下までずっとつづくふかい谷だけではありません。おくのほうから聞こえる足音に、子グマたちは小助にしがみついたままでおびえています。


「どうちたの(どうしたの)?」

「小助くん、あっちあっち……」


 それは、人間なのかばけものなのか分かりません。けれども、その人かげはどうぶつたちからすればとてもおそろしいすがたに見えるものです。

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