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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんは夏も元気いっぱい
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小助くんと夏のセミたち

 小助は、森のなかにある川にそって歩いています。今日は、いつもいっしょの子グマとちびっこオオカミがいません。


 けれども、小助はそんなことを気にしません。道のとちゅうに大きな岩やたおれた木があっても、小助はいっしょうけんめいにすすんで行きます。


「よいしょ! よいしょ!」


 大きな岩をのりこえると、小助の目の前に水がながれおちる大きなたきが見えてきました。たきつぼとなっている大きな池に向かうと、そこから水しぶきを上げるようにとびこみました。


「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 小助は水の中へもぐっては顔を出したり、およいだりしながら大はしゃぎしています。まわりに広がるたくさんの木から聞こえるセミの鳴き声は、水あそびをしている小助の耳にも入ってきました。


 その鳴き声につられるように、小助はいったん池の中から上がりました。池の近くにあるいくつかの木があつまっているところへ行くと、そこには何びきものセミが歌っているすがたがありました。


 すると、セミが自分たちをじっと見つめる小助に声をかけました。


「ぼうや、どうしてここにいるの?」

「ねえねえ! 何ちてるの(してるの)?」

「ぼくたちは、この木に止まってミンミンと鳴いているの」


 小助は、セミたちが鳴いているすがたがふしぎでたまらないようすです。


「どうちて鳴いてるの?」

「はっはっは! それはねえ、女の子のセミにぼくたちがどこにいるのか知らせるために鳴いているのさ」

「ここで鳴いているのはみんな男の子なんだよ。女の子のセミはねえ、ぼくたちみたいに鳴かないの」


 セミたちの声を聞いて、小助はセミにも男の子と女の子がいることをはじめて知りました。そんな小助に、セミたちはことばをつづけました。


「ぼうや、ぼくたちはどのくらい生きられるかな?」

「う~ん……」

「ぼくたちが生きられるのは、ほんのごくわずかなんだ。だから、生きている間はこうやってミンミン鳴いているんだよ」


 小助はセミが鳴きながら歌うすがたを見ていると、はらがけの下をおさえながら目の前にある大きな木のそばへやってきました。


「ジョパジョパジョパ、ジョパジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 小助は、大きな木のねっこに向かっておしっこをし始めました。そのおしっこのいきおいは、セミたちの耳にも入ってきました。


「わあっ! ぼうやもぼくたちと同じようにおしっこをするの?」

「うん! いっぱい出た! いっぱい出た!」


 小助は、はじめておしっこができるようになったのでうれしそうなえがおを見せています。このようすに、セミたちは、自分たちと同じようにおしっこをする小助を見ておどろいているようです。

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