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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんは夏も元気いっぱい
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大きなたきでのぼうけん(その2)

 小助は、岩のかべのてっぺんまでのぼろうといっしょうけんめいです。


「うんしょ、うんしょ」


 上のほうへのぼっていこうと、小助は手でつかめる岩をさがしています。しかし、その岩は手をまっすぐのばしてもとどくところにはありません。


「う、う~ん……」


 岩のかべのとちゅうまでやってきた小助ですが、すこしでもゆだんしたらまっさかさまにおちてしまいます。それでも、小助はここであきらめるわけにはいきません。


「ぐ、ぐぐぐぐぐっ……」


 小助は、わずかなすき間がある岩に手をのばしました。その岩に何とか手でつかむと、この後も上へ向かってのぼっていきます。


 ようやく岩のかべのてっぺんへやってきた小助が見下ろすと、たきつぼとなっている大きな池が目に入りました。


 小助がこんなに高いところまでやってきたのは、てっぺんから大きな池に向かって水の中へとびこむためです。池のそばにいるクマヤオオカミがしんぱいする中であっても、小助はこわがるようすを見せることはありません。


 いったん後ろへ下がった小助は、そこからかけ足でてっぺんからいきおいよくとびこんでいきました。


「え~いっ!」


 小助は空中で2回もつづけて回ると、そのままたきつぼの中へ水しぶきを上げながらとびこみました。水中から顔を出した小助は、いつもと同じような元気いっぱいのえがおを見せています。


「わあっ、すごいなあ」


 クマヤオオカミの子どもたちは、あれだけ高いところからとびこんだ小助のすがたにおどろくばかりです。でも、小助のぼうけんはこれでおわったわけではありません。


 こんどは、池の中にどんなのがあるのか見たくなってきました。ふたたび水中へもぐってみると、たくさんの魚がおよいでいるのが目に入ってきました。


「わ~い! お魚さん! お魚さん!」


 小助は魚がおよぐのを見ながら、自分もそれになりきろうとおよぎ出しました。魚と同じようなうごきはできませんが、それでも小助は何とかついていこうとします。


 そして、池のふかいところへ小助が向かったときのことです。


「あれっ? あれあれっ?」


 小助は、池のふかいそこに大きな生きものらしきものがいることに気づきました。その生きものは、小助とくらべてとてつもなく大きいものです。


「何だろう?」


 小助は、その生きものがいるほうへおよいでいきます。すると、その生きものはどういうわけかおくのほうへにげようとしています。


「どうちて(どうして)にげるの?」


 この後も大きな生きものをおいかけましたが、いつの間にかそのすがたは見えなくなりました。小助は水中でまわりをふりかえりましたが、なぞの生きものはどこにも見当たりません。


 その生きものがどんなすがたをしているかはまだ分かりません。それでも、あれほどのでっかい体つきとにげるときのうごきかたは、小助の頭の中ではっきりとおぼえています。


 ぼうけんをひとまずおえた小助は、みんながまっている池のほとりまでおよいで帰ってきました。これを見た子グマとちびっこオオカミは、池から上がった小助にへばりついてきました。


「ど、どうちたの?」

「小助くん、これからもいっしょだよ」

「いつもいっちょ! いつもいっちょ!」


 どうぶつの子どもたちは、小助が何ごともなくもどってきたのがうれしくてたまりません。小助はこのようすにとまどいながらも、いつもあそんでくれる子グマとちびっこオオカミのことが大すきです。


 そんな小助をやさしい目で遠くから見つめるのは、クマとオオカミのお母さんです。


「あんなところまでのぼってから池へとびこむなんて、あぶなくてしんぱいだわ」

「でも、ぼうやは自分の力でやりとげたんだもの」

「そうだね。ぼうやがすくすくそだっていることがよく分かるわ」


 クマとオオカミのお母さんは、かわいい子どもたちをつれて森の中へ帰ろうとよびかけています。すると、子どもたちがお母さんの前でいつものおねだりをし始めました。


「おっぱい! おっぱい! おっぱい!」

「ふふふ、しょうがないわね」


 こうして、小助は子グマたちといっしょにお母さんグマのおっぱいをのんでいます。お母さんグマも、自分のおっぱいをのんでいる小助たちにやさしいえがおを見せています。

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