小助くんとモグラのモグまるくん
いつものように森の中へやってきた小助ですが、今日はいつもあそぶクマやオオカミはどこにも見当たりません。
「あれれ?」
小助は、森の山道を歩きながらどうぶつたちをさがそうとしています。すると、大きな木のそばに土の中をほったようなあなを見つけました。
じっとそのあなを見ていると、そこからふしぎなどうぶつがいきなり顔を出してきました。
「わっ!」
「ははは、おどろかせてごめんごめん!」
見たことのない小さなどうぶつのすがたに、小助は思わずびっくりしてしまいました。そんな小助に、小さいどうぶつは自分の名前を言おうと口を開きました。
「おいらの名前は、モグラのモグまる! よろしくな!」
モグまるの声は、やんちゃな男の子らしくはっきりとしています。すると、小助のほうもいつものように大きな声で自分の名前を言い出しました。
「小助! 小助! 小助!」
「小助という名前か。かわいくて元気なお前にぴったりの名前だなあ」
おたがいに名前をよび合うと、小助はモグまるが出てきたあなをじっと見ながら何か言おうとしています。
「ねえねえ! ねえねえ!」
「小助、どうしたんだ」
「いっちょに(いっしょに)ここからもぐりたい! もぐりたい!」
いきなりとび出した小助のことばに、モグまるは首をよこへふりながらへんじをかえしました。
「だめだめ! このあなには大きな体は入らないって」
「もぐりたい! もぐりたい!」
おねだりをつづける小助のすがたに、モグまるは頭の中で何かを考えつづけています。そんな時、モグまるはあることを思いつきました。
「それじゃあ、ゆめの中でいっしょにぼうけんするってのはどうか」
「ゆめの中?」
「そうそう、夜中ねているときに見るゆめのことさ」
小助は、モグまるの思いついたことをじっと聞いています。ゆめの中なら、あなの中をいっしょにたんけんできるかもしれないからです。
その日の夜、山おくの小さな家では小助がかわいい顔つきでおふとんのなかでねむっています。小助のゆめの中をのぞいてみると、そこはいつもの森の中です。
森の中を歩いている小助は、大きな木のそばにあるあなをじっと見ています。すると、あなの中からモグまるがいきなり顔を出してきました。
「やあ! おいらがこれからおまじないをかけるからじっとしていてね」
「おまじない?」
「このおまじないをかけたら、小助もおいらと同じようにこのあなの中へもぐることができるから」
モグまるが右手で回すようにしながらおまじないをかけると、小助はモグラと同じ大きさまで小さくなりました。
「わあっ! ちっちゃくなっちゃった!」
小助は、自分のすがたがモグまると同じ大きさになったことに思わずびっくりしています。