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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんとなかよしどうぶつ
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小助くんとゴロ太くんのおすもう(その2)

 土ひょうの上では、小助にかったゴロ太が高らかにわらい声を上げています。


「はっはっは! おれの力がどれだけのものか分かっただろ!」


 わらい声を上げるゴロ太のすがたに、土ひょうのまわりで見ていた子グマやちびっこオオカミはおどろきをかくせません。


「小助くん……」

「あんなに強い小助くんが、まさか……」


 そんな中にあっても、小助はあいてにまけたことを気にすることはありません。ふたたび土ひょうへ入ると、ゴロ太に向かって元気いっぱいに声を上げました。


「ねえねえ! またおちゅもうちよう(おすもうしよう)! おちゅもうちよう!」

「おいおい! まだおすもうがしたいのか」

「おちゅもう! おちゅもう! おちゅもう!」

「まったく、しょうがないなあ。もういちどだけだぞ」


 小助の口からなんどもとび出したそのことばに、ゴロ太はもういちどだけおすもうをとることにしました。


「うわ~い! いっちょにおちゅもう!」


 ゴロ太とまた大すきなおすもうができるとあって、小助はえがおを見せながら大よろこびしています。土ひょうで見合う小助とゴロ太のすがたに、まわりにいるどうぶつたちもおうえんしています。


「まけるなよ!」

「どっちもがんばって!」


 土ひょうに入ったサルのぎょうじで、2人のおすもうがふたたび始まります。


「はっけよい! のこった!」


 おたがいに体をつかんだ小助とゴロ太は、土ひょうのまん中からなかなかおし出すことができません。すると、ゴロ太が自らの強いつっぱりで小助に食らわせようとします。


「これがおれの力だ!」

「うぐぐぐぐっ……。よ~いしょ!」


 小助は、ありったけの力でゴロ太をおしつづけています。すると、ビクともしなかったゴロ太の体をすこしずつおすことができるようになりました。


「よ~いっしょ! ぐぐぐぐぐぐっ……」

「こ、こんなところでまけるおれじゃないぞ」


 ゴロ太は、さっきとはちがう小助のすごい力におされています。何とかしてそのいきおいを食い止めようとしますが、小助はまるで大きな岩のようにすさまじい力でゴロ太をおしつづけています。


「よ~いしょ! よ~いしょ! うぐぐぐぐぐぐっ、ええ~いっ!」

「う、うわわわわわあっ!」


 小助は、ゴロ太を2つの手でおし出すように土ひょうの外へ出しました。ゴロ太は、そのまま後ろのほうへしりもちをつきながらたおれこんでしまいました。


「わ~い! わ~い! おちゅもうにかったよ!」

「うぐぐっ……。今日はあいこということだな」


 おすもうにかって大よろこびしている小助にたいして、まけたゴロ太のほうはかなりくやしがっています。そんなゴロ太に、小助は右手をさし出しています。


「お友だち! お友だち! お友だち!」

「小助、そんなにおれと友だちになりたいのか」

「うん! うん!」

「まったく、しょうがないやつだなあ」


 こうして、小助とゴロ太はおたがいにあくしゅをしてお友だちになりました。そんな時、空のほうからうすぐらい雲が小助たちのいる森の中へながれてきました。


「ゴロゴロゴロゴロッ、ゴロゴロゴロゴロッ……」

「か、かみなりこわい……」


 うすぐらい雲から鳴る音に、子グマたちはじめんにうつぶせになりながらこわがっています。すると、ゴロ太が大きな声で雲に向かってさけんでいます。


「おっとう! おれはここにいるよ!」


 ゴロ太の声に、空にうかんでいた雲が森の中へおりてきました。雲の上には、どっしりとしたかみなりのお父さんがいます。


「ゴロ太、きゅうにいなくなったからずっとさがしていたんだぞ」

「おっとう、ごめんなさい……」


 ゴロ太は自分のたいことばちをもつと、かみなりのお父さんといっしょにうすぐらい雲の上へのりました。


「またおちゅもうちようね(またおすもうしようね)! おちゅもうちようね!」

「小助、こんどはぜったいにかつからな」


 小助は、ゴロ太とおすもうがまたできるのを楽しみにしながら手をふっておわかれしました。

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