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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんとなかよしどうぶつ
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小助くんとゴロ太くんのおすもう(その1)

 小助は、かみなりの男の子と大すきなおすもうがしたくてたまりません。すると、これを聞いたかみなりの男の子は大きなわらい声を上げています。


「はっはっはっは! こんなチビがおれにかてると思う人なんてだれもいないぜ」


 かみなりの子どもは、まるで自分が一番強いかのような口ぶりを見せています。同じ子どもでも、かみなりの男の子は小助とくらべると一回りも大きい体をもっています。


 そんなかみなりの男の子にしがみついた小助は、そこからはなれようとせずに同じことばをくりかえしています。


「おちゅもう(おすもう)! おちゅもう! おちゅもう!」

「ちっ、しょうがないなあ」

「わ~い! わ~い! おちゅもう! おちゅもう!」


 おすもうがしたい小助の気もちに、かみなりの男の子はしぶしぶつき合うことにしました。小助は、足をなんどもピョンピョンさせながら大よろこびしています。


 こうして、小助たちはどうぶつたちがいる森の中のとおり道へもどりました。森のどうぶつたちは、小助といっしょにやってきた赤いかみなりの男の子をめずらしそうに見ています。


「小助をはじめて見た時もそうだが、あの赤い体の男の子はいったいどこからやってきたのだろうか」


 サルは、木の上からかみなりの男の子のようすをながめています。かみなりの男の子のことを知っているのは、小助と子グマたち、それにちびっこオオカミたちだけです。


 おすもうを取る前に、かみなりの子どもはなにかを思い出したかのように口をひらきました。


「おれの名前はゴロ太だ。お前の名前は?」

「小助! 小助! 小助!」

「分かった、分かった! なんども言わなくても分かるって!」


 ゴロ太は、元気よく大きな声でしゃべる小助にタジタジです。その間に、お母さんグマはおちている木のえだをつかってかんたんな土ひょうを作っています。


 小助とゴロ太が土ひょうに入って向かい合うようにかまえると、近くの木からとびおりたサルがぎょうじとしてやってきました。


「はっけよい! のこった!」


 おたがいにはらがけやふんどしをつかみながらぶつかり合う2人ですが、土ひょうのまん中からあいてをおし出すことはなかなかできません。


「よいしょ、んぐぐぐぐぐっ……」

「あんなに小さい体でなかなかやるな。だが、おれの力がどういうものなのかこれから見せてやるぜ!」


 ゴロ太は、小助を土ひょうの外へ向かって一気におし出そうとします。しかし、小助も体の大きなゴロ太をあいてにまけるわけにはいきません。


「うぐぐぐぐっ! うぐぐぐぐっ! よ~いしょ!」

「う、うそだろ……。小さい子にあれだけの力があるとは……」


 小助は、ゴロ太を土ひょうのまん中まで力強くおしていきます。この後も、おたがいに土ひょうの上でわざをしかけようとしますが、なかなかうまくいきません。


「しぶといなあ。これならどうだ!」


 ゴロ太は、自らの手のひらでつっばりながら小助を土ひょうの外へ出そうとします。小助も、すさまじい力を出してゴロ太をおしかえそうとします。


 けれども、ゴロ太の強いつっぱりをつぎつぎと食らった小助は、そのまま土ひょうの外へしりもちをついてしまいました。


「でへへ、まけちゃった」


 おすもうではじめてまけてしまった小助ですが、そんなことを気にするそぶりはまったく見せません。どんな時でも、小助はいつも見せるかわいいえがおがぴったりです。

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