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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんとなかよしどうぶつ
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小助くんとかみなりの男の子

 小助は雨がふりつづく草むらの中で見つけたのは、人間であるのかないのか分からない子どもがたおれているすがたです。


「ねえねえ! どうちたの(どうしたの)?」

「い、いててて……」


 頭に2本の角が生えているその子どもは赤色の体をしていて、黄色いとらがらのふんどしをつけています。そのすがたは、小助の後をついてきたどうぶつの子どもたちの目も目にしています。


 はじめて見るふしぎな子どもに、小助たちはじっと見つめています。


「それにしても、こんなところにおちてしまうとは……。これがないとしごとにならないからなあ」

「ねえねえ、これなあに?」

「これはなあ、おれたちがかみなりをならすためのたいこだぞ。このばちをつかってゴロゴロと鳴らすんだ」


 かみなりの子どもは、自分のしごとどうぐであるたいこを見せながら小助に教えています。小助がたいこを見るのははじめてのことです。


 すると、小助はたいこをじっと見ながらおねだりをしようとしています。


「ねえねえ! たいこちたい(したい)! たいこちたい!」

「だめだめ! これはあそびどうぐじゃなくて、おれの大切なたいこなの!」

「たいこちたい! たいこちたい!」


 かみなりの男の子がどんなにだめと言っても、小助はなんどもおねだりをくりかえすばかりです。


「しょうがないなあ。ちょっとだけだぞ」

「わあ~い! わあ~い!」


 小助はかみなりの男の子からたいこをうけとると、さっそくばちをつかってたたいています。しかし、なんどたたいてもうまく音を鳴らすことができません。


「鳴らない! 鳴らない! 鳴らない!」

「どんなにたたいたって、このたいこはなかなか音が出ないぞ。おれが今からたいこをたたくからよく見ておくんだぞ」


 かみなりの子どもは、たいこを手にするとばちでずっとたたきつづけています。すると、小助の耳にさっきのゴロゴロ鳴るのとそっくりな音が入ってきました。


「わあ~っ! ちゅごいちゅごい(すごいすごい)!」

「すごいって、おれはいつものとおりにやっただけだけど」


 当たり前のようにたいこをたたくかみなりの男の子ですが、小助ははじめて聞くたいこの音に大はしゃぎをしています。


 そんな中、子グマたちはかみなりの鳴る音を聞いただけでびくびくしながらおびえています。


「こ、こわいよう……」

「かみなりの音、本当にこわいんだもん……」


 クマの子どもたちのおびえる声に、かみなりの男の子はわらい声を上げながらこう言いました。


「はっはははは! 弱虫だなあ、クマの子どものくせにこわがるなんて」

「よ、弱虫なんかじゃないもん!」


 かみなりの子どもに大わらいされて、子グマたちはくやしい気もちでいっぱいです。これを見た小助は、かみなりの男の子に元気よく声を上げました。


「おちゅもうちよう(おすもうしよう)! おちゅもうちよう!」

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