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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんとなかよしどうぶつ
50/335

かみなりがこわい子グマたち

 森の中では、今日も小助が友だちの子グマやちびっこオオカミとじゃれ合いながらあそんでいます。


「うんしょ! うんしょ! うんしょ!」

「わっ! わわわっ!」


 小助は、クマやオオカミの子どもたち5ひきをあいてにおすもうをしています。でも、小助の力強さの前には子グマもちびっこオオカミもかないません。


「あ~あ、小助くんばかりかってつまらないなあ」


 たいくつそうなようすの子グマに、小助はあることを思いつきました。


「ねえねえ! あっちへ行こう! あっちへ行こう!」


 小助が行こうとするところは、川へ向かうところとはんたいがわのほうです。そこは、大きな木と草むらがものすごくたくさんあるところです。


 小助の新しいぼうけんに、いつもとちがうあそびがしたい子グマとちびっこオオカミも大よろこびです。クマとオオカミの子どもたちは、先に草むらの中へ入った小助の後についていくことにしました。


 さっきまで晴れていた青空は、いつの間にかうすぐらい雲におおわれてきました。空からゴロゴロとなる音に、子グマたちはとちゅうで立ち止まってこわがるそぶりを見せています。


「どうちたの(どうしたの)?」

「か、かみなりの音が……」

「こ、こわいよう……」

「大じょうぶ! 大じょうぶ!」


 小助は、かみなりをこわがる子グマたちを守ってあげようと声を出しました。クマの子どもたちは、先へすすむ小助の後ろにかくれるようについていきます。


「本当に大じょうぶかな……」

「大じょうぶ! 大じょうぶ!」


 あいかわらず元気いっぱいの小助にたいして、子グマたちのほうはなんども聞こえる空からの音におびえるばかりです。


 そうするうちに、うすぐらい空から雨がぽつぽつとおちてきました。小助たちが大きな木にかこまれた草むらをかき分ける間も、雨のいきおいはどんどん強くなってきました。


「もう帰ろうよ……」


 子グマたちが小助にそう言ったとたん、うすぐらい雲からすさまじいかみなりの音が小助たちの耳に入ってきました。


「かみなり、こわいよう……」


 小助の体にしがみついた子グマたちは、そのままはなれようとしません。ちびっこオオカミのほうも、草むらの中でうごかずにかくれています。


 その間も、空から光るいなびかりに合わせて、かみなりのはげしい音がなんども鳴りひびいています。


「もう帰りたいよう……。うええええええ~ん!」


 子グマたちは、とうとう大声でなき出してしまいました。小助は、いきなりなきだした子グマたちを見ながらこまっているようすです。


 すると、おくのほうでドサッと何かがおちてきた音が聞こえてきました。小助は、何がおちたのかを見ようとそこへ向かってすすもうとします。


「うええええ~ん! 帰りたいよう!」

「帰ろうよ! 帰ろうよ!」


 こわい思いをした子グマたちは、今すぐにでも帰りたがっています。そばへよってきたちびっこオオカミも、なきつづける子グマたちのようすをながめています。


 そんな時、おくの草むらで何かを見つけた小助がげんきいっぱいの声を上げました。


「こっちへきて! こっちへきて!」


 小助の大きな声に、クマとオオカミの子どもたちはおそれながらもゆっくりとおくのほうへ歩くことにしました。


「どうか、こわいものでありませんように……」


 子グマたちは、にげ出したいという思いをもちながらも草むらをかき分けるようにすすんでいます。

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