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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
どうくつたんけんふたたび
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カッパたちといっしょにもう1つの池へ

 おっぱいをのみおえた小助は、ふしぎそうにまわりを見わたしています。すると、カッパのお母さんにげんきな声で何か言い出しました。


「ねえねえ! ねえねえ!」

「ぼうや、どうしたの?」

「あっち見て! あっち見て!」


 カッパのお母さんは、小助が言っているほうへ顔をふり向きました。でも、小助が言っているのがどういうものなのか分かりません。


「ぼうや、向こうを見てもなにもないけど」

「あっちにあな! あっちにあな!」


 同じことばをくりかえす小助にカッパのお母さんがとまどっていると、2人のそばへやってきたちょうろうが口をひらきました。


「小助くん、もしかしてあのとおり道のことかな?」

「うん! うん!」


 カッパのちょうろうは、小助が見つけたのがどういうのかすぐに分かったようです。そのとおり道は、あるばしょとつながっています。


「あそこをとおりぬけると、べつの池へたどりつくことができるのじゃ」


 ちょうろうのことばを聞いて、小助はもう1つの池へ行ってみたくなりました。小助はちょうろうにしがみついてはおねだりをしようとしています。


「ねえねえ! あっちへ行こう! あっちへ行こう!」


 かわいい男の子のおねがいに、カッパのちょうろうはいっしょにつれて行くことにしました。これには、小助もうれしさのあまりに足をピョンピョンとびはねています。


「もう1つの池へ行くのがそんなにうれしいのか」

「うん! 見たい! 見たい!」


 カッパたちにとってはもう1つの池へ行くのは当たり前のことであっても、小助やほかのどうぶつたちにとっては新しいせかいへ行くのと同じです。


 そんな新しいせかいへ行きたい小助のねがいをかなえようと、カッパのちょうろうはほかのカッパたちに声をかけました。


「すまないけど、このぼうやをもう1つの池へつれていってほしいけど」

「それくらいのこと、ぼくたちにまかせて! ここにいるほかのどうぶつたちもいっしょにつれてってあげるよ!」


 カッパたちは、自分たちのせなかにのって行こうと小助たちによびかけました。小助は、これから行くところが今から楽しみでたまりません。


「せなかをしっかりつかまってね」


 小助をのせたカッパは、もくてきのばしょへ向かってまっすぐすすんでいきます。ほかのどうぶつたちも、カッパのせなかにのって小助の後についていきます。


「ねえねえ! ねえねえ!」

「ぼうや、どうしたんだ」

「あっち、何があるの? 何があるの?」

「それは行ってからのお楽しみさ」


 小助は、向こうにある池がどんなものかいろいろとそうぞうしています。カッパも、そんな小助と話しながらすこしずつ前へおよぎつづけています。


 やがて、小助たちをのせたカッパたちはとおり道をぬけると、もう1つの池のいちばんそこへ出てきました。ここは、カッパ池と同じようにきれいな水におおわれています。


 小助はカッパのせなかからおりると、どこからともなく聞こえる音に向かって歩き出しました。その音は足をすすめるたびに大きくなってきました。


 そのばしょは、小助もよく知っているあの池です。水中には、イワナやヤマメといったお魚がたくさんおよいでいます。


「ねえねえ! ここどこ! ここどこ!」

「はっはっは! この池は大きなたきの水がたくさんながれおちるところだよ」


 カッパから聞いたそのことばに、小助は大よろこびです。小助は、カッパにしがみついて何かをおねだりしようとしています。


「いっちょに(いっしょに)たきが見たい! たきが見たい!」

「そんなに大きなたきが大すきなのか」

「うん!」


 あいかわらずげんきな小助のすがたに、カッパはいっしょに池から顔を出してこの目で見ることにしました。

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