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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
どうくつたんけんふたたび
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ばけものムカデとのたいけつ

 小助たちがどうくつへ入ると、それをまっていたかのようにほのかに明るくなってきました。少しすすむと、かわいいおばけが火の玉といっしょにあらわれました。


「わあ~い! おばけさん! おばけさん!」

「ぼうや、またこのどうくつへやってきたんだね」

「友だち! 友だち!」


 小助は、かわいいおばけにへばりつくとその場からはなれようとはしません。いつもひとりぼっちのおばけも、かわいいはらがけの男の子のすがたにうれしそうです。


「いっちょに(いっしょに)行こう! いっちょに行こう!」

「どうくつのおくへ行くのかな!」

「うん!」


 かわいいおばけは、あいかわらずげんきいっぱいの小助をやさしく見つめています。どうくつのことなら何でも知っているおばけは、小助たちをつれてあんないしようとします。


 でも、子グマとちびっこオオカミはおばけといっしょにいる火の玉をこわがって歩き出すのをためらっています。


「ねえねえ! いっちょに行こう!」

「本当に大じょうぶなの? 大じょうぶなの?」

「大じょうぶ! 大じょうぶ!」


 いっしょに行きたいという小助の思いに、クマとオオカミの子どもたちもついて行くことにしました。


 どうくつの中には、何が出てくるか分かりません。小助がほかのどうぶつたちよりも先にかけ出すと、おくからおそろしいものがじめんをすすんでいるのが見えてきました。


「あっ! もしかして……」


 小助の前にあらわれたもの、それはおそろしいばけものムカデです。後からやってきたどうぶつたちは、ムカデを目にしたとたんにふたたび後ろへ下がろうとしています。


「小助、こんなムカデにかまっていたらたいへんなことに……」


 サルたちから声をかけられても、小助はばけものムカデのいる前からうごこうとはしません。そんな小助に、かわいいおばけが何か言おうと話かけてきました。


「ぼうや、気をつけて! 何をしてくるか分からないから」


 おばけのしんぱいをよそに、小助はじめんにおちていた小さい木のえだをもってムカデに近づきました。


「つんつんつん! つんつんつん!」


 小助は、ばけものムカデの頭をつんつんしながらキャッキャッとわらっています。しかし、こんなことをされてムカデがおこらないはずがありません。


「ぐぬぬっ、よくもバカにしやがって……」


 おこったムカデは、小助に向かっていきなりおそいかかりました。小助は思わずびっくりしながらも、すぐにムカデの後ろへとび上がりました。


 すると、ムカデのほうも小助のいるほうへ向きをかえながら口をあけてかみつこうとしてきました。このうごきに、小助はどうぶつたちがいるほうへふたたびとび上がりました。


「このチビめ、にげようたってそうはいかないぞ」


 ムカデはどんなことがあっても、自分がねらったえものをのがしません。小助が後ろ向きになっているのを見て、ばけものムカデは小助の足元をねらっていきます。


 そんな時、小助はそのまましゃがみながら元気いっぱいの音を鳴らしました。


「プウウウッ! ププウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」

「うっ! いきなりどうくつのなかでおならを……」


 小助のでっかいおならに、さすがのムカデもたまらないようすです。そんなムカデに向かって、小助はさらに大きなおならを食らわせようとします。


「プウウウウウウウウウウウウッ!」


 ムカデがじめんにのたうち回っていると、小助は自分の手でばけものムカデの後ろをつかみました。


「キャッキャッ! キャッキャッキャッ!」

「や、やめてくれ……。たのむから……」


 小助はムカデの後ろからもち上げると、その場で何回もばけものムカデをじめんにたたきつけています。あまりのすさまじさに、ばけものムカデはどうくつのおくへにげ出しました。


「このままただですむとは思うなよ……」


 ばけものムカデがこのことばをのこしてさると、どうぶつたちが小助のまわりにあつまりました。


「あんなばけものをよくやっつけるとは、小助はこわいもの知らずだなあ。でっかいおならをばけものムカデに食らわせるぐらいだし」

「てへへ、でっかいおなら出ちゃった」


 げんきなえがおを見せる小助のすがたに、どうくつの中でかわいいおばけとどうぶつたちのわらい声がひびきわたっています。

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