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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
あつい夏はみんなで大ぼうけん
339/343

小助くんとハヤブサの空中でのたたかい

 小助とクマの親子をのせたトビは、つばさを広げながらとびつづけています。すぐとなりのほうでは、オオカミの親子をのせたもう1わのトビが大空をすすんでいます。


「わあっ! 田んぼ! 田んぼ! はたけ! はたけ!」

「ふふふ、小助くんはいろんな形の田んぼやはたけを見るのがすきなんだね」

「うん!」


 小助は、広い空から下のほうにどんなものが見えるのかじっとながめています。山おくとはまたちがったけしきに、小助はかわいいえがおで大よろこびしています。


「でも、ここは空の上なのでおちたら大へんなことになるから気をつけようね」

「うん!」


 トビは、せなかにのっている子どもたちにやさしい声でちゅういしています。これは、ちびっこオオカミたちがのっているとなりのトビも同じです。


「ちゃんとトビの言うことを聞くのよ」

「は~い!」


 クマやオオカミのお母さんも、自分の子どもたちがおちないようにじっと見つめています。こうして、2わのトビがいきを合わせながら空をとびつづけると、向こうのほうに海が見えてきました。


「わあ~っ! 海だ! 海だ!」


 小助たちは、広い海がすがたをあらわしたのを空中からじっとながめています。けれども、しまへたどりつくまでゆだんすることはできません。


 なぜなら、トビたちにとってやっかいな鳥が近づいてきたからです。


「おい! ここはおれさまのなわばりだぞ!」

「わわっ! ハヤブサだ!」

「ここからおちないようにしっかりつかまっていないといけないぞ」


 トビたちは、ハヤブサをさけようといったん引きかえそうとします。しかし、どんなににげようとしてもハヤブサはえものをねらおうとおいかけてきます。


「こ、こ、こわいよう~」

「大じょうぶだよ。お母さんがいつもついてあげるから」

「で、でも……」


 子グマたちは、お母さんグマのそばからはなれようとはしません。その間も、おそろしいハヤブサは2わのトビにおそいかかろうとします。


 すると、小助はトビの目の前にせまってきたハヤブサへ思い切ってとびうつりました。そのすがたに、トビはおどろきをかくせないようすです。


「小助くん! そのハヤブサは……」


 トビは大きな声でさけんでいますが、小助はハヤブサのほうにむちゅうになってさけび声が耳に入ってきません。


「いっちょにおちょぼう(あそぼう)! いっちょにあちょぼう!」

「このチビめ! おちょくるのもいいけがんにしやがれよ!」


 ハヤブサは、すばやいはやさで空中をうごき回りまがら小助を下のほうへおとそうとします。しかし、小助はどんなにとび回ってもしっかりつかまっているのでへい気です。


「キャッキャッキャッ、キャッキャッキャッ」

「な、なぜだ! あれだけすばやいはやさでとんでいるのに……」


 自分のなわばりであるにもかかわらず、ハヤブサは小さい人間の子どもをあいてに手こずるばかりでいらだちをかくすことができません。そして、小助がハヤブサの頭にまたがったその時のことです。


「プウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ」

「うぐっ! と、と、とてもくさい……」


 小助は、ハヤブサの顔へでっかくてげんきいっぱいのおならをみごとにめいちゅうさせました。おならこうげきのようすは、どうぶつたちをのせたトビたちにもすぐにつたわりました。


「プウッ! プウッ! プウッ! プウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ」

「うげっ! うげっ! か、かんべんしてくれよ……」


 ハヤブサは、小助からのおならこうげきを4回もつづけて食らってしまいました。小助は、目の前へもどってきたトビにふたたびまたがりました。


 あわててにげるハヤブサをよこ目に、小助はクマの親子と楽しそうにおしゃべりをしています。


「ふふふ、あんなにおそろしいハヤブサであってもおならこうげきで元気いっぱいだね。ケモスケくんといっしょにでっかいイモを食べているし」

「うん! 元気なおなら! 元気なおなら!」


 小助がいつも元気なのは、イモをたくさん食べてからでっかいおならをするおかげです。おそろしいハヤブサも、小助のおならこうげきにすっかりまいってしまったようです。


「広い海の中にうかぶ大きなしまが見えてきたよ」

「しっかりつかまっていないといけないぞ」


 子どもたちとお母さんをのせた2わのトビは、これから向かうしまを目ざしてすすんでいます。

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