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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
あつい夏はみんなで大ぼうけん
338/343

2わのトビにのって出ぱつ

 小助は、かいじゅうたちとの楽しかったできごとを思いおこしながら山道を元気にかけ下りています。どうぶつの親子たちも、小助においていかれないように後ろからついて行きます。


「そんなにいそいだらケガをしちゃうよ」

「大じょうぶ! 大じょうぶ!」


 そんな小助が、山道から池の中へ足を入れようとするその時のことです。池のそばにある岩場のほうへふり向くと、そこには、聞きおぼえのある鳴き声を上げている鳥が止まっています。


「ピ~ヒョロヒョロヒョロ、ピ~ヒョロヒョロヒョロ」

「わ~い! トビだ! トビだ!」

「ふふふ、わたしのことをよくおびえているわね」

「うん!」


 トビと顔を合わせながら大よろこびしている小助のそばには、子グマたちやちびっこオオカミたちがつぎつぎとやってきました。そのすがたに、トビは思わずびっくりしています。


「みんなをせなかにのせてあげたいけど……」


 すると、青く広がった空のほうからトビがもう1わやってきました。そのトビは、岩場にいるトビのなかまです。

「ピ~ヒョロヒョロロ、ピ~ヒョロヒョロロ」

「わあ~っ! あっちにも! あっちにも!」


 小助は、もう1わのトビがこっちへやってくるのを見て大はしゃぎしています。そのようすに気づくと、先に岩場へやってきたトビのとなりへちゃくちしました。


「どうしたの?」

「たまたま空をとんでいたら、きみがこまっているように見えたのでここへやってきたのさ」


 なかまどうしでおたがいに話しているうちに、2わのトビはすぐに子どもたちのほうへ向きました。トビたちは、小助たちがあつまっているのを見るとすぐに口をひらきました。


「これから海のほうへ向かうけど、みんなもいっしょにつれていってあげるよ」

「わ~い! 海だ! 海だ! 海だ!」


 小助は、あつい夏に海にうかぶしまへまた行けるのでとてもうれしそうです。子グマたちも、トビにのって海へ行ったことがあるので楽しみにしています。


 そんな中、ちびっこオオカミたちはいままで海を見たことがないのでとまどっています。そんなちびっこオオカミに、お母さんオオカミはやさしい声をかけてきました。


「お母さんもいっしょに行くから、しんぱいしなくても大じょうぶだよ」


 ちびっこオオカミは、お母さんといっしょに行けるとあってうれしさをかくせないようすです。子グマのことがしんぱいなお母さんグマも、お母さんオオカミとともについて行くことにしました。


「それじゃあ、しばらく目をつぶっていてね。合図があるまで目をあけたらダメだよ」


 小助たちは、トビたちの言うことを聞いて目をつぶっています。その間も、小助は海で出会った生きものたちとの楽しいできごとを思いうかべています。


「もう目をあけてもいいですよ」


 トビたちの声が耳に入ったので、小助たちは目をあけることにしました。小助たちの目の前には、自分たちよりも大きいトビたちのすがたがあります。


「わあっ! 大きいなあ」

「はっはっは! ぼくたちが大きくなったわけではないよ」


 小さくなった小助たちは、2わのトビのせなかへそれぞれのることにしました。小助は、クマの親子3びきとともにトビの女の子のせなかへのっています。


 そして、トビの男の子のほうにはオオカミの親子4ひきがのっています。


「空からおちないようにしっかりつかまっていてね」


 こうして、小助たちをのせた2わのトビは海のほうへ目ざそうと広い大空に向かってとび立ちました。

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