おしっこのゆめとでっかいおねしょ
いつものように森の中を歩く小助ですが、今日はいつもとようすがちがうようです。まわりを見わたしても、大すきなクマたちやオオカミたちはどこにもいません。
「みんなとあちょびたい(あそびたい)! あちょびたい!」
小助が声を上げても、どうぶつたちの声を耳にすることはありません。空のほうも、どんよりとくらい雲におおわれてきました。
すると、森のおくからぶきみな声が聞こえてきました。小助が近づいてみると、そこにあらわれたのは今まで見たことのないおそろしいかいぶつです。
「ぐはははは! おれさまがいるとも知らずにやってくるとはなあ」
かいぶつは、小助をわしづかみにすると自分の顔の手前までもち上げました。けれども、小助はかいぶつを前にこわがるようすはありません。
「あちょぼう(あそぼう)! あちょぼう!」
「ちっ! このチビめ……」
小助は、目の前のかいぶつがあそびあいてだと思っているようです。かいぶつは、小助をにらみつけたり、口をあげてするどいきばを見せてこわがらせようとします。
「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」
「な、なぜだ……。あれだけおそろしい顔つきをしているのに……」
小助はこわがるどころか、かいぶつの顔を見ては大声ではしゃいでいます。このすがたを見たかいぶつは、小助を食べようと自分の口へもっていくことにしました。
「ぐへへへへ! おめえみたいなチビは、おれさまに食べられるのがぴったりだぜ!」
かいぶつは、ゆびでつまんだ小助を大きな口の中へ入れようとします。そんな時、小助は足をバタバタさせながらはらがけの下をおさえています。
「お、おちっこ(おしっこ)……。ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョ~ッ」
「うわっ! お、おれさまの顔におしっこを……」
小助は、おそろしいかいぶつの顔に向かってげんきいっぱいのおしっこをしています。あまりのいきおいに、かいぶつは声を出すことができません。
おしっこがいっぱい出てすっきりした小助ですが、そこで目をなんどもまばたきした時のことです。
「小助くん、おはよう」
お母さんのやさしい声を耳にしたとたん、小助はおふとんでぐっすりねむっていたことに気づきました。そこには、目の前にいたはずのかいぶつはどこにもいません。
「あれ? あれれ?」
「小助くん、どうしたの?」
小助のようすが気になったお母さんは、すぐにかけぶとんをめくりました。すると、お母さんは小助のおふとんをじっとながめています。
「かあちゃ、おねちょちちゃった(おねしょしちゃった)」
「ふふふ、今日もいっぱいおねしょをやっちゃったね」
小助のおふとんをみると、そこにはでっかくてげんきなおねしょがえがかれています。これだけのおねしょをするのは、小助が人間のお母さんのおっぱいだけでなく、クマやおおかみのおっぱいをたくさんのんでいるおかげです。
「おねちょ! おねちょ!」
「こんなにでっかいおねしょをしてもぜんぜん気にしていないからね。だって、小助くんはいつもげんきだもの」
お母さんは、おねしょしてもえがおを見せる小助のすがたをやさしく見つめています。
こうして、小助のおねしょぶとんはおにわのものほしにほされています。そのとなりにあるのは、おねしょでねれた小助のはらがけです。
「わ~い! おねちょ! おねちょ!」
新しいはらがけをつけた小助は、自分がおねしょしたおふとんのよこに立つとうれしそうな顔つきを見せています。