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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
どうぶつたちとなかよしの小助くん
327/343

小助くんとてんぐの子どものおすもう

 小助は、どうぶつの子どもたちとともにお父さんオオカミからはなれないようについて行きます。すると、遠くのほうにきものをみにつけた男の子らしきすがたがすわっていることに気づきました。


「いっちょにあちょぼう(いっしょにあそぼう)! いっちょにあちょぼう!」


 さらに進むと、男の子のすがたがはっきりと見えるようになりました。いつもはだしの小助とちがって、その男の子はりょう足にげたをはいています。


「はじめて見る顔だな」


 小助の目の前には、てんぐの男の子が切りかぶにすわっています。てんぐは、ぶっきらぼうなようすで小助をじっとにらみつけています。


「お前の名前は何だ?」

「こちゅけ(小助)! こちゅけ! こちゅけ!」


 てんぐの顔つきは、人間の男の子とそっくりではなは長くありません。そんなてんぐの男の子に、小助は自分の名前を元気いっぱいの声で言っています。


「はらがけ1まいか。年はいくつだ?」

「2ちゃい(2さい)! 2ちゃい!」

「そうか。おいらの名前はふせたろうだ!」


 ふせたろうはげたをはいているので、同じ子どもであっても小助とくらべてせたけがかなり高く見えます。よく見ると、小助はふせたろうのそばをはなれないではかまにしがみついています。


「おい! 何でしがみついているんだ」

「おちゅもう(おすもう)! おちゅもう!」

「おちゅもうって、もしかしておすもうがしたいのか?」

「おちゅもうちよう(おすもうしよう)! おちゅもうちよう!」


 小助のかわいい声を耳にしたふせたろうは、自分がみにつけているきものとはかまをそのばでぬぐことにしました。


「それなら、いっしょにおすもうをしようか」

「わ~い! おちゅもう! おちゅもう!」


 ふせたろうは、きものをぜんぶぬぐと赤いふんどしのすがたで小助の前にあらわれました。そして、じめんにおちている木のえだでえがきながら土ひょうを作っています。


 このようすは、いっしょにたんけんしているオオカミたちやワン太のほうにもつたわっています。土ひょうの中では、ふんどしすがたのふせたろうとはらがけすがたの小助がおたがいに見合いながらかまえています。


「はっけよい、のこった!」


 おすもうがはじまると、2人はおたがいにぶつかり合いながらあいての体をつかんでいます。ふせたろうは、自分が強いことを小助に見せつけようとあいてを一気に土ひょうの外へ出そうとします。


「こんな小さい子だったらすぐたおせそうだな」


 しかし、小助もすぐに力いっぱいの強いおしでふせたろうを土ひょうのまんなかまでおしかえしています。


「うんしょ! うんしょ! うんしょ!」

「わっ! あんなに小さいやつのどこにすさまじい力があるのか」


 そんな時、小助は土ひょうの中ですさまじい力を出しながらあいてのふせたろうをもち上げています。これには、さすがのふせたろうもおどろくばかりです。


「わわっ! た、たのむからここから……」

「んぐぐぐぐっ! えいっ!」

「う、うわああああああっ!」


 小助は、てんぐのふせたろうを土ひょうの外へなげとばしました。ふせたろうは、自分よりも小さい子どもにまけてしまってとてもくやしそうです。


 すると、小助はいつものかわいいえがおを見せながらふせたろうの前で手を出しました。


「あくちゅちよう(あくしゅしよう)! あくちゅちよう!」

「小助、おいらと友だちになりたいのか?」

「うん!」


 おすもうがあわった2人は、たがいにあくしゅすることになりました。あくしゅは、小助とふせたろうがともだちになったことをしめすしるしです。


「ぼうやは、どうぶつもてんぐも同じように友だちを作るのが上手だね」


 オオカミのむれにいるお母さんは、小助とてんぐが友だちになってすっかりなかよくなったのを見ながらかんしんしています。

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