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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと冬の新しい出会い
322/343

雪女にだっこされた小助くんのおしっこで火けし

 小助はおっぱいをのみおえると、雪女にだっこされながらすやすやとねむりの中へ入っています。雪女の家の中には、ひとだまがすっととび回っています。


「こわいよう……」


 ワン太は、ひとだまを見るのがこわくてお母さん犬の後ろにかくれたままです。ここから帰ろうと、ワン太は家のひきどをあけようとしています。


「ワン太くん、何をしているの?」

「早くここから帰りたいよ……」


 お母さん犬は、小助をここにのこしたままで帰るわけにはいきません。しかし、ワン太は早く帰りたいというばかりです。


「分かったわ。すぐにひきどをあけるからね」


 ひきどをあけると、ワン太はいそぎ足で雪がふりつづく外へとび出しました。ところが、ワン太は目の前にある木から火の手が上がっていることに気づきました。


「大へんだ! 大へんだ!」

「ワン太くん、どうしたの?」

「大へん! 大へん! このままではこの家がもえてしまうよ!」


 お母さん犬が外をのぞいてみると、手前にある木がもえ広がっているのが見えました。火の手は、雪女がくらす家のほうへせまってきています。


「こちゅけくん(小助くん)! こちゅけくん!」


 ワン太のさけび声は、ぐっすりねむっていた小助の耳にもつたわりました。すぐに外へ出ると、小助は家の手前の木がもえているのを見てすぐに雪のかたまりをそこへなげつけました。


 しかし、なんども雪をなげつけても火のいきおいは止まりません。その木のまわりは、ふかくつもっていた雪がとけて水たまりになっています。


「雪のおかげでなんとか食い止めているけど、このままでは……」


 家から出てきた雪女ですが、目の前にせまってくるほのおへ近づくことができません。そんな時、小助ははらがけの下をおさえながらもじもじしています。


「ぼうや、もしかしておしっこ?」

「だっこちておちっこ(だっこしておしっこ)! だっこちておちっこ!」


 どうやら、小助は雪女のおっぱいをのみずぎておしっこがしたくなったようです。雪女は、火の手がせまる中で小助をりょう手でやさしくだき上げました。


「おしっこをするのなら、前向きにだっこしようかな」

「うん! こっち! こっち!」

「こっちって、もしかしておしっこで火をけすの?」

「うん!」


 小助は、雪女にだっこされながら前のほうを向いています。すると、もえ広がるほのおの手前で小助があんよを上げたその時のことです。


「ジョパジョパジョパジョパジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 いきおいよくおしっこが火元につぎつぎと命中させると、もえつづける木のほのおはしだいに小さくなってきました。小助は、元気いっぱいのおしっこをしながらもえ広がる火をけそうとしています。


「ジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 雪女がくらす家へせまってきた火の手は、小助のおしっこがいっぱい出たおかげでぶじにきえることができました。これを見た犬の親子は、雪女にだっこされている小助のそばへやってきました。


「小助くん、おしっこいっぱい出たおかげでもえている火をけすことができたね」

「おちっこ出た! おちっこ出た!」


 小助が火をけしたおかげで、雪女はこれからもこの家でくらすことができそうです。そんな小助は、ワン太といっしょにお母さん犬の前でいつものおねだりをしています。


「おっぱい! おっぱい!」

「ふふふ、しょうがないわね。こっちへおいで」


 小助とワン太は、かわいい顔つきでお母さん犬のおっぱいをのみつづけています。家の前にいる雪女も、小助たちのようすをほほえましそうに見つめています。

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