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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
いつもげんきいっぱいの小助くん
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小助くんとお母さんグマのおすもう

 長い冬がおわって、小助がくらす山おくにも春がやってきました。森のほうも、雪がとけてたいようのひかりがてらされています。


 そこへやってきたのは、2才になったばかりの小助です。小助が森の中をしばらく歩いていると、冬ごもりをおえたクマたちのすがたが見えてきました。


「かあちゃ! かあちゃ!」


 小助は、お母さんグマを見つけるとすぐにそばへ行こうとかけ出しました。お母さんグマに会えるのはひさしぶりのことです。


「ぼうや、おひさしぶりだね」


 お母さんグマの顔を見て、小助はピョンピョンとびはねながらよろこんでいます。2ひきの子グマも、大すきなお母さんグマにへばりついています。


 そんな小助は、子グマといっしょにお母さんグマの前にならんでいつものおねだりをげんきな声で言い出しました。


「かあちゃ! おっぱい! おっぱい!」

「ふふふ、みんなしょうがないわね」


 お母さんグマは、小助と子グマにおっぱいをあたえることにしました。おっぱいをのんでいる小助のかわいい顔を見ながら、お母さんグマはやさしくほほえんでいます。


「いっぱいのんで強い子になろうね」


 小助はお母さんグマのおっぱいをのみおえると、子グマたちとのおすもうごっこをしようとはりきっています。


「うんしょ! うんしょ!」

「わっ! わわわっ!」


 2ひきがかりでおすもうをとろうとした子グマですが、小助の前になんどもまけてしまいます。


「あ~あ、なんどやってもかてないからつまらないなあ」


 そんな子グマの声を耳にしたお母さんグマは、小助をあいてにおすもうをとることになりました。


「わ~い! かあちゃとおちゅもう(おすもう)! おちゅもう!」

「ぼうやにはわるいけど、えんりょはしないからね!」


 お母さんグマは、小助とくらべて二回りも大きい体つきです。けれども、おすもうが大すきな小助にとってはここでまけるわけにはいきません。


「はっけよい! のこった!」


 小助は、大きな体で向かってきたお母さんグマのうごきをありったけの力で食い止めています。


「うぐぐぐぐぐっ! よ~いっしょ! よ~いっしょ!」

「これくらいのことでまけないわ……」


 お母さんグマも、子グマたちのためにも小助にまけるわけにはいきません。しかし、小助は大きなけものをあいてにすさまじい力を出しつづけています。


「うう~んっ! うう~んっ! ええええ~いっ!」


 小助は、体の大きいお母さんグマを後ろへドシンとおしたおしました。お母さんグマは、力強い小助のすがたをやさしく見つめています。


「ふふふ、ぼうやのおすもうでの強さにあたしもまけちゃったわ」


 お母さんグマは、すさまじい強さと子どもらしいかわいさをもつ小助をやさしく見つめています。小助も、やさしいお母さんグマにしがみついたままはなれようとしません。


 そんな時、子グマたちが小助に声をかけてきました。


「ねえねえ! こんどはかけっこをしようよ!」

「うん! いっちょにちよう(いっしょにしよう)!」


 小助は、子グマたちにさそわれていっしょにかけっこをしようとはりきっています。げんきな声を上げる小助たちを見て、お母さんグマはそのようすをほほえみながら見まもっています。

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