山の中にいるのは?
小助は、雪がたくさんつもった道を元気いっぱいにすすんでいます。自分の足が白い雪の中にはまっても、小助はそんなことを気にすることはありません。
「うんしょ! うんしょ! うんしょ!」
「小助くん、雪にはまったままだけど大じょうぶなの?」
「大じょうぶ! 大じょうぶ!」
後ろにいるお母さん犬のしんぱいをよそに、小助は足が雪にすっぽりと入ったままでもいっしょうけんめいに前へ行こうとしています。
しばらくすると、いままで行ったことのない山の入り口へやってきました。空を見上げると、雪がはげしくふりつづいています。
「わあ~い! 雪だ! 雪だ!」
どんなに雪がふっていても、小助は大よろこびで山のおくへ向かおうと入りました。お母さん犬も、小助のようすを気にしながらも後ろからワン太とともについて行きます。
雪ぶかい中で山のてっぺんへ行くのはとても大へんです。小助がすすもうとすると、まわりの木につもっていた雪がたくさんおちてきました。
「小助くん!」
お母さんがあわてたようすでかけよると、小助がうまった雪の中からえがおを見せながら出てきました。
「見て見て! 雪がいっぱいだよ! 雪がいっぱいだよ!」
「小助くん、そんなに雪が大すきなの?」
「うん! 大ちゅき(大すき)! 大ちゅき!」
小助は、木の太いえだにとびつくと白い雪の中へいきおいよくとびこみました。ちゃくちの時に雪の中へすっぽり入ってもへっちゃらです。
「元気なのはいいけど、けがをしないように気をつけてね」
「うん!」
白い雪がたくさんとつもっているので、山の中をすすむのにもかなり大へんそうです。それでも、小助はえがおを見せながら雪道をすこしずつ前へ行こうとしています。
そんな小助に、お母さん犬はあることをつたえようと声をかけています。なぜなら、お母さん犬はこの山へ1ぴきだけで出かけた時におそろしいばけものがいることを知ったからです。
「この先には、ばけものがいるから引きかえしたほうが……」
しかし、お母さん犬からのことばが小助の耳に入ることはありません。小助にとっては、ばけものであってもあそびあいてだからです。
山のてっぺんを目ざして歩きつづけると、白い毛なみでおおわれた2本のつのをもつでっかいばけものがいることに気づきました。すると、小助はなぞのばけものがいるところへいっしょうけんめいにすすんでいます。
「小助くん! そのばけものに近づいたら……」
お母さん犬は、ばけものに近づかないように小助になんどもさけび声を上げています。しかし、小助はさけび声を聞かないままばけものの前へやってきました。




