おしくらまんじゅうは楽しいね
秋がすすむにつれて、森の中ではじめんにたくさんのはっぱがおちています。そんな中、小助が楽しみにしているのはどうぶつの子どもたちといっしょにおしくらまんじゅうをすることです。
「おちくらまんじゅう(おしくらまんじゅう)! おちくらまんじゅう!」
森の通り道には、子グマたちやちびっこオオカミたちがつぎつぎとあつまってきました。さらに、森のおくからはきものをきている人間の子どもたちが2人やってきました。
小助いがいの人間が森へやってくるのはひさしぶりのことです。どうぶつたちは、どうしてこんなところに人間がくるのかとまどっています。
人間の子どもたちは何もことばを口にしていません。なぜなら、キツネとタヌキが人間の子どもにばけているからです。
「大じょうぶかなあ……」
「大じょうぶだって! 何も言わなかったらおれたちのことは気づかないだろうし」
キツネとタヌキは、ほかのどうぶつたちに聞こえないように小声でつびやいています。
そうするうちに、お母さんグマが森の中へあつまった子どもたちをよびました。これから、子どもたちみんなでせなかやおしりを合わせておしくらまんじゅうをはじめるところです。
「それじゃあ、みんなでかけ声を出してはじめるわよ! おしくらまんじゅう、おされてなくな!」
「おちくらまんじゅう、おちゃれてなくな(おされてなくな)!」
お母さんグマのかけ声にあわせるように、小助たちもかわいい声を出しながらおしくらまんじゅうをしています。この後も、子どもたちは元気いっぱいの声を上げながら何回もおし合っています。
「みんな、あたたまってきたかな?」
「うん! あたたかいよ!」
小助たちは、みんなでおしくらまんじゅうをするのにすっかりむちゅうになっています。子どもたちのほうも、しだいに体があたたまってきました。
お母さんグマは、人間の子どもたち2人のおしりからしっぽが見えていることに気づきました。しかし、ほかの子どもたちといっしょにかけ声を上げておし合っているのでその場でじっとしています。
そして、みんなで楽しそうにおしくらまんじゅうをつづけていたその時のことです。
「プウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ」
「うわっ! く、くさくてたまらない……」
小助は、人間の子どもたちとせなかをおし合っている時にでっかいおならが出てしまいました。人間にばけたキツネとタヌキは、小助のくさいおならのにおいにたまらないようすです。
そして、小助におされたはずみで前のめりにたおれると、どうぶつたちの前でキツネとタヌキのすがたにもどりました。キツネとタヌキは、近づいてくるお母さんグマからにげようとかけ出しました。
すると、草むらからもどってきたオオカミのお父さんやお母さんと出くわしました。2ひきのオオカミは、キツネとタヌキをにらみつけながらほえています。
「おい! ここへ何をしにきたんだ!」
「い、いえ……。あの、その……」
ひっしにごまかそうとするキツネですが、オオカミたちは4本足でゆっくりと歩きながら2ひきのいるほうへせまってきます。
「おれたちの子どもに手を出したんじゃないだろうな」
「ご、ごめんなさい! ゆ、ゆるして……」
キツネとタヌキは、オオカミたちにおわれながらいそぎ足で森のおくへさっていきました。そんな中であっても、小助たちは子グマやちびっこオオカミとじゃれ合いながらあそんでいます。
「ふふふ、ぼうやたちはあいかわらず元気におそんでいるみたいだね」
お母さんグマは、小助たちが楽しそうにあそんでいるようすをやさしく見まもっています。




