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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと冬のどうぶつたち
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おそろしいオオカミとやさしいオオカミ

 けもののすがたは、小助がいつもあそぶオオカミたちとそっくりです。しかし、ここにいるオオカミはなにかようすがちがいます。


「おれたちのなわばりに入るとはなあ……」

「ここへ入ったからには、生きて帰れるとは思うなよ」


 オオカミたちは雪の中で見つけたえものをたべようとにらみつけると、いきなり小助におそいかかりました。


「うわっ!」


 思わずしりもちをついた小助ですが、オオカミたちがきばをむき出してもこわがることはありません。


「うまそうなチビだな。この場で食べるとするかな」


 オオカミたちは、よだれをたらしながら目の前の小助を食べようとせまってきました。そんな時、小助はあんよを上げながら元気な音を草むらの中で鳴らしました。


「プウウウッ! プププウウウウウウウウウ~ッ!」

「うっ! こんあところでくさいおならを……」

「く、くさくてたまらない……」


 小助は、一気におそってきたオオカミたちの顔へ目がけて大きなおならをめいちゅうさせました。これには、さすがのオオカミもくさくてたまらないようすです。


 しかし、小助のこうげきはまだおわりません。


「ジョパジョパジョパ、ジョパジョパジョジョジョジョジョジョ~ッ」

「うわっ! おれの顔におしっこを……」

「たのむからやめてくれ! わわわっ!」


 オオカミたちの顔にかけられているのは、小助のげんきいっぱいのおしっこです。いきおいよくめいちゅうしているのを見て、小助はかわいい顔つきでキャッキャッとわらっています。


「こ、これはたまらない……」

「く、くそっ……。ここからにげるぞ!」


 小助によるおならとおしっこのこうげきは、オオカミたちにとってたまったものではありません。こうして、オオカミたちはいっせいに草むらのおくへにげて行きました。


「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 小助は、おそろしいオオカミがいてもいなくてもいつも明るいえがおをたやしません。そんな小助ですが、オオカミがいなくなってすぐにくるしそうな顔つきにかわりました。


「うう~んっ! うう~んっ! ううううううう~んっ!」


 そこへやってきたのは、小助にとっていつも顔を合わせているオオカミのむれです。その顔つきは、さっきのオオカミたちとはまったくちがいます。


 すると、お母さんオオカミが小助のすがたを見てやさしく声をかけてきました。


「ぼうや、げんきなうんこが出ちゃったんだね」

「えへへ、うん出た! うん出た!」


 雪の上には、小助がしたばかりのでっかいうんこがあります。お母さんオオカミは、小助のげんきなようすを見てにっこりさせています。


「はっはっは! げんきなぼうやのうんこを見て、本当にびっくりしたよ。だって、赤ちゃんなのにあれだけのうんこが出るんだから」


 お父さんオオカミもおどろくほどのでっかいうんこをした小助は、オオカミたちのむれといっしょに雪のつもった草むらから出てきました。


「そういえば、さっきべつのオオカミがきていたような……」

「あれは、おれたちよりもかなりおそろしいからなあ……」


 大人のオオカミたちは、自分たちのむれとはまったくちがうオオカミたちのことを話しています。しかし、それが小助とたたかったオオカミたちかどうかは分かりません。


「これから、子どもたちのためにえものをさがさないといけないな」

「ぼうや、明日もまっているからね」


 小助はオオカミのむれとわかれると、森のおくからお母さんのまっている家へ向かって歩いていきます。そのとちゅうで、うさぎたちにふたたび出会いました。


「ねえねえ、どうだったの?」

「おそろしいけものがいたけど、大じょうぶだった?」

「オオカミさんといっちょにあちょんだよ(いっしょにあそんだよ)!」


 うさぎたちは、おそろしいけものをあいてにこわがらない小助のすがたにおどろきをかくせません。でも、小助にとっては、こわいのとかこわくないのとかを気にすることはありません。


「そろそろくらくなってきたなあ」

「そろそろおうちへ帰らないといけないよ」

「あちたもいっちょにあちょぼ(明日もいっしょにあそぼう)! あちょぼ!」


 小助とうさぎたちは、明日もいっしょにあそぶことをやくそくすると、それぞれの家へ歩いてもどることにしました。

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