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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
秋のきせつはどうぶつたちとともに
307/343

バケギョと楽しそうにあそぶ小助くん

 大きな池の中では、小助がおじいさんナマズにまたがりながらふかいところにいるドジョウをじっとながめています。よく見ると、池のそこに広がるどろの中からドジョウが顔を出しています。


「わあ~っ! ドジョウが出てきた! ドジョウが出てきた!」

「ぼうや、ドジョウはどろの中でくらすことができるのじゃ」


 おじいさんナマズは、小助にドジョウがどんなお魚なのか分かりやすく教えています。小助は、ドジョウのふしぎなうごきを見るたびに大はしゃぎしています。


 しかし、ここは池の中でも一番ふかいばしょです。おじいさんナマズは、池の中に茶色くて大きな魚らしきすがたを目にすると小助へすぐに声をかけました。


「ぼうや、ここからはなれるぞ」

「ドジョウは? ドジョウは?」

「向こうにいるのは、バケギョというこわい魚のかいじゅうじゃ」


 池のそこにいるドジョウたちは、バケギョに見つからないようにどろの中へいっせいにかくれました。水中にいるお魚たちも、ふかいところからはなれたばしょへつぎつぎとにげていきます。


 そんな中、小助はおじいさんナマズからバケギョの顔に向かってとびつこうとします。バケギョは、小助をのみこもうと大きな口をあけています。


「バケギョ、あちょぼう(あそぼう)! あちょぼう!」


 小助は、バケギョのせなかに回ってりょう手とりょう足でしがみつきました。バケギョは、何とかして小助をふりおとそうとしますがまったくうまくいきません。


「ぼうやにもしも何かあったら……」


 おじいさんナマズは、おそろしいバケギョといっしょにいる小助のことを心ぱいそうにながめています。そんな心ぱいをよそに、小助はバケギョのせながでとんだりはねたりしながら大よろこびしています。


「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」

「や、やめろ! おれのせなかであそびやがって!」


 どんなにバケギョがおこっても、小助は元気にとびはねるのをやめようとはしません。バケギョはおびれで強く水をたたくと、そのはずみで小助は水中になげ出されてしまいました。


「ぼうや、あぶない!」


 おじいさんナマズは、バケギョが大きな口をあけて小助のほうへ向かっているのを見てすぐにさけび声を上げました。けれども、その声は小助の耳に入っていません。


「こんどこそ、でっかい口でのみこんでやるぜ」


 小助は、目の前にせまってきたバケギョの顔にしがみつきました。これなら、バケギョに食べられる心ぱいはありません。


「うわっ! 何をするんだ!」

「いっちょにあちょぼう! いっちょにあちょぼう!」


 バケギョは、目の前が見えなくてあわてふためいています。そんな中でも、小助はバケギョの顔にしがみついたままはなれようとはしません。


「こ、こうなったら……」


 大きな池から顔を出したバケギョは、小助がしがみついたままで一気に空中へ向かってとび出しました。すると、小助は空にうかんでいる時に元気いっぱいの音をひびかせています。

「プウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」

「く、くさい……。こんなところでおならを……」


 バケギョは、でっかいおならを食らうと小助とともにそのまま大きな池へドボンとおちてしまいました。小助は、おじいさんナマズのところへもどるとふたたびせなかへまたがりました。


「またあちょぼう! またあちょぼう!」

「か、かんべんしてくれよ……」


 小助は、バケギョに手をふりながらかわいいえがおを見せています。そんなバケギョは、小助からにげるようにいそいで池のおくへときえていきました。


「ぼうや、いっぱいあそんで楽しかったかな?」

「うん! たのちかった(楽しかった)! たのちかった!」

「それじゃあ、そろそろおわかれしないといけないなあ。そろそろくらくなってくるし」


 おじいさんナマズは、やさしい声をかけながら小助とおわかれしました。小助は、おじいさんナマズやバケギョと会えるのを楽しみにしながら池の入り口へもどって行きました。

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