かぶと虫どうしのおすもう
小助とワン太は、おにたちがくらすしまからつぎのしまへ向かってとびつづけているトビのせなかにのっています。トビは、小助が楽しそうに話すようすをじっとききながら空をすすんでいます。
「おにごっこ、たのちかった(たのしかった)!」
あいかわらず元気いっぱいの小助の声は、トビのほうにもはっきりとつたわっています。しまでの楽しいできごとは、ほかにもたくさんあります。
「ばけものナマズとぼうけん! ばけものナマズとぼうけん!」
「ふふふ、小助くんはこわいもの知らずだね」
「うん!」
トビは、どんな生きものであってもあそぼうとする小助の元気さにかんしんしています。そうするうちに、つぎのしまが見えてきました。
「空からおちないようにしっかりつかまってね」
小助たちをのせたトビは、しまのおくにある森の中に向かっておりています。やがて、みどり色のたくさんの木にかこまれたばしょへたどりつくことができました。
トビからおりた小助は、目の先にいるあのこん虫を見るとすぐにかけ出しました。
「わ~い! かぶとむち(かぶと虫)! かぶとむち!」
小助たちは、トビにのるためにすがたが小さくなっています。このため、森の中にいるこん虫たちは小助たちとほぼ同じくらいの大きさでうごいたりとび回ったりしています。
「わあ~っ! おちゅもうだ(おすもうだ)! おちゅもうだ!」
森の中では、かぶと虫がおたがいに角をぶつけ合いながらたたかっています。かぶと虫は。あいてのうごきを見ながらすばやくたおそうとねらっています。
「それっ!」
「うわっ! し、しまった……」
かぶと虫どうしのおすもうたいけつは、いっしゅんでしょうぶがきまりました。かったほうはどうどうとしているのにたいして、まけたほうはとてもくやしくてたまらないようです。
このようすを見ていた小助は、おすもうでかったばかりのかぶと虫の前へやってきました。小助は、いろんなどうぶつや生きものをあいてにおすもうをするのが大すきです。
「おちゅもうちたい(おすもうしたい)! おちゅもうちたい!」
「う~ん、見たことがないぼうやだなあ」
この森でのおすもうは、かぶと虫やくわがた虫といった強いこん虫によって行われます。かぶと虫は、こん虫でない生きものをふしぎそうにじっと見つめています。
「そんなにおすもうがしたいのか」
「うん! おちゅもう大ちゅき(大すき)! おちゅもう大ちゅき!」
こうして、小助は森の中の土ひょうでかぶと虫とおすもうで力くらべをすることになりました。
 




