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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと冬のどうぶつたち
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サルたちとおんせんと雪がっせん

 サルたちがおんせんにつかっているのを見ている小助たちは、高い木の太いえだからとびおりることにしました。


「小助、ちゃくちするときは……」

「えいっ!」


 小助は木の上からいきおいよくとびおりると、空中で一回りして雪の上にちゃくちしようとします。しかし、ちゃくちしたときに右足を雪ですべった小助は、思わずしりもちをついてしまいました。


「だから、足をすべらせないように気をつけないといけないのに」

「てへっ」


 ちゃくちにしっぱいしても、小助はサルの前でてれわらいを見せています。さすがの小助も、木から木へのとびうつりはまだサルにはかないません。


「それじゃあ、あのおんせんにいっしょに入ろうかな」

「うん! いっちょに(いっしょに)入ろう! いっちょに入ろう!」


 おんせんのそばへやってくると、おゆにつかっているサルのなかまたちが小助をめずらしそうに見ています。


「こんなにかわいいぼうやを見るのは見たことないわね」


 お母さんザルがやさしそうな目つきで話しかけると、小助はげんきで大きな声を上げました。


「おんしぇん(おんせん)! おんしぇん!」

「もしかして、おんせんに入りたいの?」

「うん!」

「ふふふ、ゆっくり足を入れてみようね」


 小助は、自分から足をゆっくり入れながらおんせんの中へ入りました。はらがけをつけたままで入った小助は、はじめてのおんせんをサルのなかまたちにかこまれながら楽しんでいます。


「小助、おんせんに入ったらぬくもるだろ」

「うん! おんちぇん、気もちいい!」


 まだ赤ちゃんの小助は、自分の口から話せることばは多くありません。それでも、小助はおぼえたばかりのことばでサルたちにつたえようとしています。


 そうするうちに、ふりつづいた雪のほうもしだいにやんできました。うすぐらい雲におおわれていた空のほうも、雲の切れ目から日がさしこんできました。


「ようやく雪がやんでくれたか」

「でも、これだけつもったら雪の上を歩いて帰るのは大変だぞ」

「雪の上をすべらないように気をつけないといけないな」


 大人のサルたちがいろいろと話している中、子ザルたちはすぐさまおんせんから出てくると、雪でなにかを作ろうとしています。


「よ~し! これから雪がっせんをするぞ!」


 サルの子どもたちは、雪玉を作ってはぶつけ合う雪がっせんをしようとはり切っています。これをじっと見ている小助も、子ザルの中に入ろうとおんせんから上がりました。


「いっちょにちたい(いっしょにしたい)! いっちょにちたい!」

「雪がっせんをしたいのか?」

「うん!」

「それなら、雪がっせんでつかう雪玉の作りかたを教えてあげるからね」


 小助は、子ザルの前で雪玉を見よう見まねで作っています。でき上がった雪玉は、子ザルが作ったのとくらべて少し小さいものです。


 さあ、いよいよ雪がっせんの始まりです。小助は、サルの子どもたちにまじってなかまに入ると、さっそく子ザルに向かって雪玉をぶつけていきます。


「やってくれたな! これならどうだ!」

「うわ~い! 雪玉だ! 雪玉だ!」


 子ザルからおかえしで雪玉をぶつけられても、小助は自分で作った雪玉を子ザルたちに投げ返していきます。こうして、小助と子ザルたちはみんなで雪がっせんで楽しくあそびおわるとすっかり友だちになりました。


「友だち! 友だち!」

「まいっちゃったなあ。ぼくのことを友だちと言ってくれるなんて」


 子ザルたちはちょっとてれながらも、小助から友だちと言ってくれるのがうれしそうです。そんな小助は、おんせんから上がったお母さんザルにおねだりしようとしています。


「おっぱい! おっぱい! おっぱい!」

「ふふふ、しょうがないわね。さあ、こっちへおいで」


 小助は、お母さんザルにかけよるとすぐにおっぱいをのみ始めました。そのすがたに、小助といっしょにきたサルは木の上からながめています。


「やれやれ、小助はあいかわらずどうぶつのおっぱいをのむのが大すきなんだなあ」


 いつもげんきな小助にとって、どうぶつたちのおっぱいをのむのをかかすことはありません。お母さんザルも、かわいい小助のすがたをやさしい目で見つめています。

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