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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと楽しい冬のきせつ
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オオカミにばけたキツネ

 森の中では、今日もうさぎたちがふりつもった雪の上をピョンピョンとびはねるように走っています。どんなにさむくても、冬ごもりをしないでうごき回るどうぶつたちがたくさんいます。


 ふだんは草むらが広がっているばしょも、たくさんつもった白い雪におおわれています。そんな中、キツネとタヌキがいきをひそめながらかくれています。


「大じょうぶかなあ……」

「あそこにいるのはオオカミでもまだ小さい子どもだぞ。いっしょにばければ、おれたちであると気がつかないぞ」


 キツネとタヌキは、自分たちがもってきたはっぱを頭の上にのせると白いけむりにつつまれながらくるりと回りました。


 そのころ、ちびっこオオカミは3びきがいっしょになってじゃれ合うようにあそんでいます。オオカミのお父さんとお母さんは、子どもたちのためにえものさがしに出かけています。


 すると、ちびっこオオカミの前にべつの小さなオオカミが2ひきいることに気づきました。ここにいる小さなオオカミは、キツネとタヌキがさっきばけたばかりのすがたです。


 小さなオオカミにばけているキツネは、ちびっこオオカミたちによびかけています。


「いっしょにかけっこしようよ!」

「うん! いいよ」


 こうして、オオカミの子どもたち5ひきによるかけっこがはじまりました。キツネが化けている小さなオオカミは、雪がつもっている森の道を4本足ですばやくすすんでいます。


「わあっ、はやいなあ」

「おいつけないよう……」


 いっぽうで、タヌキがばけたオオカミは足がおそいのでちびっこオオカミにもおいつくことができません。自分だけおいてきぼりになってしょんぼりしていると、後ろのほうから元気な声で雪道を走っている音が耳に入ってきました。


 オオカミにばけているタヌキは、目の前にいる小助とワン太のすがたをじっとながめています。


「ねえねえ、何ちているの(なにしているの)?」

「ばくはねえ、オオカミにばけているの」


 タヌキはそう言ってから、その場で自分からくるりと回ってもとのすがたにもどりました。小助は、いつも草むらのほうにいるはずのタヌキがここにいることをふしぎそうに見つめています。


「じゃあ、ぼくはあっちへ行くから」


 小助たちがいることに気まずさをかんじたタヌキは、すぐに雪におおわれている草むらの中へ入って行きました。そうするうちに、おくのほうまでかけっこをしていた小さな子どものオオカミたちがつぎつぎともどってきました。


 ちびっこオオカミがいつもよりも多いようですが、小助とワン太は気にしないでいっしょになかまになってあそびはじめました。小助たちは、オオカミの中にキツネがばけているのをまだ知りません。


「おちゅもう(おすもう)! おちゅもう!」


 小助は、ちびっこオオカミとおすもうごっこをしながら楽しそうにじゃれ合っています。しかし、おすもうごっこをしているあいてはオオカミにばけているキツネです。


「わっ、わわっ! おしつぶされそう……」


 その時、白いけむりにつつまれてあらわれたのはちびっこオオカミよりも大きいキツネです。キツネは、小助からにげようとオオカミの子どもたちからはなれようとします。


「おい! こっちにくるな!」

「おちゅもう! おちゅもう!」


 小助は、おすもうごっこがしたいとキツネをかけ足で後ろからついていきます。キツネは、あわてたようすで雪のつもった草むらへ向かいました。


 すると、キツネの目の前にオオカミのお父さんとお母さんがあらわれました。オオカミたちは、えものさがしからもどってきたところです。


「おい! ここで何をしているんだ!」

「こ、これにはわけがありまして……」


 キツネは、お父さんオオカミがおこっているのを見てその場からにげようと後ずさりしています。でも、お父さんオオカミはひきょうなキツネをゆるしません。


「まさか、子どもたちに何かしようとしていないだろうな……」

「ご、ごめんなさい! ゆ、ゆるして……」


 お父さんオオカミは、キツネをおいかけようと雪の草むらからすばやくとび出しておいかけています。これに気づいたキツネは、オオカミにつかまりたくないといそぎ足で森のおくへとさりました。


 いっぽう、小助たちはあいかわらずちびっこオオカミ3びきといっしょに雪の中であそんでいます。みんながはしゃいでいると、お母さんオオカミが子どもたちのそばにいることに気づきました。


 小助は、ワン太やちびっこオオカミとともにお母さんオオカミの前にならびました。もちろん、ここにあつまったのはいつものおねだりをするためです。


「みんな、どうしたのかな?」

「おっぱい! おっぱい! おっぱい!」

「ふふふ、みんなしょうがないわね」


 お母さんオオカミは、さっそくちびっこオオカミとワン太におっぱいをあたえることにしました。オオカミの子どもたちがおっぱいをのみおえると、入れかわるように小助がオオカミのお母さんのおっぱいをのみはじめました。


「人間のぼうやも、いっぱいのんで大きくなるといいね」


 お母さんオオカミは、おっぱいをのみつづけている小助のすがたをやさしく見まもっています。

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