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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
山おくの秋は楽しいきせつ
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赤いりゅうがたすけてくれたよ!

 山おくは、いつもとちがってどんよりとうすぐらい雲におおわれています。そんな中であっても、小助はワン太とともに元気よく森の中へ向かってかけ足で走ろうとしています。


 しかし、森のほうへ行こうとしても小助たちはなかなかすすむことができません。なぜなら、すさまじい風が小助たちのほうへふきつけているからです。


「うんしょ! うんしょ!」

「と、とばされそう……」


 こうする間にも、空からは強い雨がきゅうにふり出してきました。小助たちは、はげしい雨と風にまけないように前へ向かおうとします。


「うぐぐぐぐっ、うぐぐぐぐぐぐぐっ……」

「すすまないよう……。わっ! わあああ~っ!」


 小助とワン太は、すさまじい風にまきこまれると空のほうへ向かっていっしょにとばされてしまいました。ものすごい風にふきとばされた小助たちは、見うごきできないまま森の大きな木の上をこえていきます。


 ワン太は、自分がどうなるのかしんぱいになってきました。その気もちは、小助のほうにもつたわっています。


「こちゅけくん(小助くん)……」

「大じょうぶ! 大じょうぶ!」


 小助は、えがおを見せながらワン太をやさしくだきしめています。


 はげしい風にとばされた小助たちの先には、大きななみが立っている大きな池が見えてきました。そのまま池の中へたたきつけられると、小助とワン太は水中のふかいところへしずんでいきます。


 すると、池のそこからやってきた赤いりゅうが小助たちに近づいてきました。けれども、赤いりゅうはいつものように小助へおそいかかったりすることはありません。


「あのチビ、子犬といっしょだぞ。どうしたんだ」


 赤いりゅうは、いつもとちがって大きな池がなみ立っていることに気づきました。すぐに小助たちをせなかにのせると、大きなりゅうは一気に池の中からとび出しました。


 空をうかんでいる赤いりゅうですが、目の前からはすさまじい風が雨とともにふきつけてきます。そんな中であっても、赤いりゅうは小助たちを池の入り口までつれて行こうとしています。


「わあ~っ! おっきなりゅうだ! おっきなりゅうだ!」

「そこのチビ、おれのれなかにつかまっていないと風にふきとばされるぞ」


 小助は、ワン太をだきながら大きなりゅうからおちないようにしっかりとつかまっています。赤いりゅうのほうも、風にふきとばされないように池の近くのじめんへ向かってすすんでいます。


「さあ、池のそばへついたぞ」


 赤いりゅうのことばを耳にすると、小助たちはそろってりゅうのせなかからおりることにしました。空をながめると、うすぐらい雲の切れ間から青空が見えてきました。


 さっきまでふきつけていた風のほうも、いつの間にかおさまってきました。小助とワン太は、自分たちをたすけてくれた赤いりゅうにかんしゃしようと大きな声を上げています。


「おっきなりゅう! ありがとう!」

「そうかそうか。まあ、すさまじい風がふいている時に外へ出るのは気をつけることだな」


 赤いりゅうは、小助たちにちゅういするとすぐに池のほうをもどろうとします。すると、小助はりゅうの頭にとびつくとかわいい声で何か言おうとしています。


「またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」

「おいおい! おれはおまえとあそぶとやくそくしたわけではないぞ!」


 小助のおねだりに、赤いりゅうは早くここからもどりたいと頭の中で考えていたその時のことです。


「プッ、プッ、プウウウウウウウウウウウウウウ~ッ」

「ぐえっ、おならがくさてたまらない……」

「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 赤いりゅうは、小助のでっかいおならこうげきをみごとに食らってしまいました。小助の元気いっぱいのえがおに、大きなりゅうはむっつりした顔つきでだまりこんでいます。

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