おとしあなにおちちゃった小助くん
小助は、高い山のてっぺんへ向かって元気いっぱいに歩いています。山道のそばには、でっかいちょうちょがとび回っています。
「わ~い! ちょうちょ! ちょうちょ!」
いつも大はしゃぎする小助のようすを、サルとトビは後ろのほうから見ています。
「ふふふ、小助くんはあいかわらず元気いっぱいだね」
「あまりにも元気すぎるので、わしはすっかりまいってしまうよ」
小助は、小さい体でいろいろな生きものを見ながら楽しそうにあそんでいます。でも、その先におとしあながあることにはまだ気づいていません。
「小助! そっちにはおとしあながあるぞ!」
「ちょうちょ! ちょうちょ……。わっ!」
サルは、ちょうちょにむちゅうになっている小助に大きな声でちゅういしました。しかし、小助はその声が耳に入る前におとしあなへおちてしまいました。
これを見たサルたちは、すぐにおとしあなのところへきました。
「小助、大じょうぶか?」
「てへへ、おちちゃった」
どうやら、小助は大きなおとしあなにうっかり足を入れておちてしまったようです。さいわいなことに、小助はケガをしないでいつもの元気なすがたを見せています。
そんな時、サルは小助の後ろからでっかい生きものがせまってくることに気づきました。
「小助、その生きものに近づいたらダメ!」
「どうちてなの(どうしてなの)!」
「その生きものはアリジゴクという名前で、大きなあごではさまれたらしんでしまうぞ」
小助がすぐにふり向くと、自分の体と同じくらいの大きさのアリジゴクがおそいかかってきました。
「ふはははは、おれさまがいるとは知らずにおとしあなにはまってしまうとはなあ」
アリジゴクは、こすけのようぶんをすいとろうと自らの大きなあごを近づけています。これを見た小助は、おとしあなからすぐにはい上がろうとしています。
けれども、おとしあなの中ははまべのようなさらさらとしたすなばかりです。
「小助、アリジゴクにつかまる前にこっちへ!」
「よいちょ(よいしょ)! よいちょ! よいちょ!」
小助は、すなばかりのおとしあなから出ようといっしょうけんめいになっています。そんな小助に、アリジゴクが自分のハサミで卯ソロからはさもうとしたその時のことです。
「ブッ! ブウッ! ブウウウウウウウウウウウウ~ッ!」
「ぐ、ぐええええええっ……」
アリジゴクは、小助のくさいおならを食らってころげおちてしまいました。小助はいつものかわいいえがおを見せながら、元気なおならの音をひびかせています。すなけむりとまざるように上のほうへ広がっています。
「ブウウウウウウウウウウウ~ッ!」
小助は、でっかいおならをしながらすなけむりとともに大の字で空中へとび上がっています。
「く、くさい……」
「おとしあなの中でおならをするとは……」
サルとトビは、あまりにもくさい小助の元気いっぱいのおならにすっかりまいっているようです。




