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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏は海も山も楽しいよ
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青いりゅうにのって大ぼうけん

 小助は、青いりゅうの大きなすがたに見とれています。すると、青いりゅうは名前のことを聞こうと小助に声をかけてきました。


「ぼうや、名前はなんだ?」

「こちゅけ(小助)! こちゅけ! こちゅけ!」

「こちゅけというのか」

「うん!」


 青いりゅうは、小助が言ったこちゅけという名前をそのままつかっています。そのことばに、小助はキャッキャッとかわいいわらい声を上げています。


「そんなにわしのことがうれしいのか」

「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 小助から気に入られた大きなりゅうは、小助を自分の頭にのせることにしました。コイのほうも、青いりゅうといっしょについていきます。


「こちゅけ、しっかりつかまっていないとおちるぞ」


 青いりゅうは、池のふかいところをくねくねさせながらすすんでいます。そのようすに、小助はえがおを見せながら大よろこびしています。


「どうだ、こんなうごきをするのはほかにはいないぞ」

「もっと! もっと!」

「はっはっは、こんどは池の中から空へ向かってとぶとするかな」


 青いりゅうは、大きな池をおよぎ回るだけではありません。水中から出ると、そこから空のほうへとび上がることができます。


「早く! 早く!」

「それじゃあ、行こうかな」


 小助をのせたりゅうは、ふかいところから池の中を出ようと一気にうかび上がりました。水中から顔を出すと、長い体をうねるように青空のほうへ向かいます。


「わ~い! 空だ! 空だ!」

「どうじゃ、空から見たら大きな池も小さく見えるぞ」


 高い空からのけしきを見て、小助はキャッキャッとうれしそうなわらい声を上げています。青いりゅうは、空中をうかんでいる時も体をうごかそうとなんどもくねくねさせています。


「それじゃあ、また池の中へもどろうかな」


 長いりゅうは、小助といっしょに空中からふたたび大きな池へとびこんでいきます。りゅうの大きなしぶきは、ハスのはっぱの上にいるカエルたちもびっくりするほどです。


「わあ~っ! ちゅごい(すごい)! ちゅごい!」

「ははは、こちゅけから言われるとわしもてれてしまうなあ」


 小助は、その後も青いりゅうが池の中をうねりながらすすむのを見ながらうれしそうに大はしゃぎしています。これを聞いたりゅうは、もういちど空を目ざして池の中からとび出そうとしています。


「こちゅけ、空中のほうへ向かっていくぞ」


 青いりゅうはくねくねするように水中から顔を出すと、そこから高い空へ小助といっしょにのぼっていきます。でも、小助の顔つきはいつもの明るいえがおではありません。


「お、おちっこ(おしっこ)……)


 小助は、青いりゅうにまたがっているのでどうにかしておしっこをガマンしようとしています。その間も、長いりゅうはおよぐように空をとんでいます。


「こちゅけ、どうしたの?」

「おちっこ出る……」


 青いりゅうは、大きな池の向こうへ小助をつれていくことにしました。そこは、大きな木がたくさんあるばしょです。


 小助は、青いりゅうからすぐおりるとその場で大きな木に向かっておしっこをしはじめました。


「ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 おしっこは、いきおいよく木のねっこへめいちゅうしているうちに水たまりのようになってきました。やがて、小助はいつものかわいいえがおで自分のおしっこをじっと見ています。


「こちゅけ、おしっこいっぱい出たなあ」

「うん! おちっこ出た! おちっこ出た!」


 青いりゅうは、小助を乗せて自分のすみかである池のふかいところへもぐることにしました。そこには、でっかいコイが小助がくるのをまっています。


「ぼうや、青いりゅうにのってどうだった?」

「たのちかった(楽しかった)! たのちかった!」


 このようすに、青いりゅうはやさしいことばで小助に声をかけようと口をひらきました。


「こちゅけ、またわしのところへあそびにきてほしいな」

「またあちょぼう(あそぼう)! またあちょぼう!」


 小助は、大きなコイにまたがると青いりゅうに手をふっておわかれしています。でっかいコイは、小助をのせてサルとトビがまっている池のそばへつれて帰ることにしました。

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