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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏は海も山も楽しいよ
242/343

草むらの先にあるカエルたちの池

 小助たちは、高い山のてっぺんへ向かう道を歩いています。その山道は、じめんをふむたびにぬかるんでいることに気づきました。


「わ~い! どろんこ! どろんこ!」


 どろんこが大すきな小助は、さっそく水たまりやぬかるみの中に入ってあそびはじめました。小助は、どろんこだらけになりながらもえがおで大はしゃぎしています。


「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」

「やれやれ、小助はすぐにどろんこになるんだから」


 サルは、小助がどろんこあそびしているようすをじっと見まもっています。森の中から見上げると、白い雲が少なくなって青空が広がっています。


「こりゃあ、じばらく雨はふらないみたいだぞ」


 トビは、空のようすを見終わると大きな木のえだに止まってまわりを見回しています。そんな時、トビの耳元にあの鳴き声が入ってきました。


「ケロケロッ、ケロケロケロケロッ」


 それは、まさしくカエルが歌う時の鳴き声です。これに気づいた小助は、すぐに草むらの中をかき分けるようにすすんでいます。


「小助はどこまで行くつもりなんだ?」


 サルたちも、小助のすすむほうに向かって後ろからついて行きます。やがて、カエルたちがいる大きな池がすがたをあらわしました。


 草むらから出ると、小助は一気にかけ出しながら大きな池へいきおいよくとびこみました。小助は、池の中でどろんこまみれになった体をきれいにあらいながしました。


 水中から顔を出した小助は、自分と同じ大きさのカエルがハスのはっぱの上にのっているのを見つけました。


「カエルさん! カエルさん!」

「おっ! 人間のぼうやかな?」

「どうしてここまできたの?」


 カエルたちは、はじめて顔にする人間のぼうやをめずらしそうに見つめています。すると、小助はまわりにいるカエルたちに向かって鳴き声を出しながら歌いはじめました。


「ケロッ、ケロッ、ケロケロッ,ケロケロッ、ケロケロケロケロケロッ」


 小助の歌声を聞いて、カエルたちはすぐに大よろこびで鳴き声を上げています。カエルたちは、小助が歌うためのハスのはっぱをよういしました。


「さあ、ここにのって」


 カエルたちにさそわれるように、小助はさっそくハスのはっぱに足をのせました。小助のかわいいすがたは、カエルたちにもすぐにつたわりました。


「ぼうや、これなあに?」

「はらがけ! はらがけ!」

「はっはっは、わしらの体の色とそっくりじゃ」


 みどり色のカエルたちは、自分たちの色とそっくりである小助のはらがけをじっと見ています。小助のほうも、カエルになり切って元気な鳴き声を上げています。


「ケロケロケロッ、ケロケロケロッ」

「ぼうや、かわいい鳴き声をしているわね」

「ここにいるみんなで元気に鳴きながら歌おうかな」

「カエルさんといっちょ(いっしょ)! カエルさんといっちょ!」

「それじゃあ、わしらと友だちになってくれないかな」

「わ~い! 友だち! 友だち!」


 こうして、小助はこの池にいるカエルたちと友だちになりました。カエルたちは、小助のために自分たちの鳴き声で歌うことにしました。


「ケロケロッ、ケロケロッ、ケロケロケロケロケロケロケロッ」


 この歌声に合わせるように、小助のほうもかわいい鳴き声を上げています。


「ケロッ、ケロッ、ケロケロッ、ケロケロッ、ケロケロケロッ」


 小助は、カエルたちといっしょにこの池がすっかりと気に入るようになりました。池のそばでは、サルとトビが小助たちのようすをこの目でながめています。


「ふふふ、あのカエルたち、小助くんを気に入っているようだね」

「小助ったら、いろいろな生き物と友立ちになるのはいいけど……」


 あいかわらずの小助の元気さに、サルはちょっぴりしんぱいしているようです。

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