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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏は海も山も楽しいよ
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小助くんとかわいい赤ちゃんの出会い

 どんよりとした雲におおわれた空からは、かみなりの音が鳴りながらすさまじい雨がふりつづいています。


 そんな中でも、小助は大はしゃぎで山道をかけ下りていきます。後ろのほうにいるサルは、小助のようすがどうしても気になってしまいます。


「あんなにかみなりが鳴っているのに……」


 サルの小助をまもりたいという思いは、上のほうをとんでいるトビも同じです。けれども、その思いは小助の耳にとどいていません。


 小助はとちゅうでしりもちをついても、どろんこになってもまったくへいきです。よごれた体は、雨であらいながしてくれます。


「どろんこ! どろんこ!」


 サルは、どろんこだらけになるたびにえがおを見せる小助のすがたをふしぎそうにながめています。


 そうするうちに、うすぐらい雲の切れ目から青空があらわれました。はげしくふっていた雨のほうも、いつの間にかやんできました。


「さっきまでものすごい雨だったのに……」


 トビは、つばさをひろげてとびながら空を見上げています。青空が広がって太ようが顔を出すとともに、どんよりとした雲は少なくなってきました。


 やがて、山から下りた小助はすなはまのほうへ向かおうとしています。サルも後ろからついて行こうとしますが、小助のかけっこのはやさにはかないません。


「まだ小さいのに、あんなにはやかったらおいつけないよ」


 その間も、小助はすなはまに足をふみ入れながら楽しそうに走っています。そんな時、すなはまからおき上がろうとする男の子らしきすがたを目にしました。


「どうちたの(どうしたの)? どうちたの?」

「う、う、うええええええ~んっ」


 そこには、大声でなき出している小助と顔がにている赤ちゃんの男の子がいます。その赤ちゃんは。小助と同じようにはらがけ1まいで足をバタバタさせています。


 小助は、ないている赤ちゃんの前でえがおを見せながらかわいい声をかけています。


「ぼくもいっちょ(いっちょ)! ぼくもいっちょ!」


 赤ちゃんは、小助のかわいい顔を見てすぐになきやむようになりました。そして、こんどは自分であんよを上げながら元気なわらうすがたを見せています。


 すなはまの近くには、いくつか家があるようです。もしかしたら、この赤ちゃんはお父さんやお母さんとはぐれてまいごになっているかもしれません。


 そんな時、サルとトビが小助と赤ちゃんのいるところへやってきました。小助と赤ちゃんは顔がそっくりですが、はらがけの色がちがうのですぐに分かります。


「この赤ちゃんがどうしてここにいるのか、あっちに行ってたしかめてくるわ」


 トビは、さっそく赤ちゃんのお父さんとお母さんをさがしに家があつまるところへつばさを広げてとび立ちました。その間も、赤ちゃんはキャッキャッとうれしそうにわらっています。


 でも、赤ちゃんがこの後どんなことをしてくるかはまだ分かりません。それに気づかずに、小助が赤ちゃんのえがおを見ようと顔を近づけたその時のことです。


「ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」

「わっ!」


 赤ちゃんの男の子は、小助の顔におしっこをいきおいよくめいちゅうさせています。この間も、赤ちゃんはおしっこをしながらかわいいえがおでわらっています。


「てへへ、おちっこ(おしっこ)されちゃった」

「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 小助は、おしっこがめいちゅうされてもいつも通りにかわいいえがおのままです。このようすに、サルは小さい子どもたちのすがたをじっと見つめています。


「やれやれ、かわいい顔つきでわらうのはどっちも同じだなあ。どっちも赤ちゃんのままではらがけをつけているし」


 サルは、あいかわらずにぎやかな子どもたちのえがおにまけてしまいそうです。

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