おちばあそびとゆうれいにばけたキツネ
秋がふかまるにつれて、森の中にあるさまざまな木がたくさん色づいてきました。じめんの上には、おちばがたくさんおちています。
そこには、黄色いイチョウのはっぱや赤いカエデのはっぱ、茶色いブナのはっぱがまじり合うようにちらばっています。
森の中にやってきた小助とワン太は、おちばを見つけるとさっそくあお向けになってころがっています。
「おちば、ゴ~ロゴロ! おちば、ゴ~ロゴロ!」
小助たちは、大きな木のそばにあるおちばでうれしそうにころがっています。子グマやちびっこオオカミも、小助たちのいるところでおちばをつかってあそびはじめました。
子グマたちは、おちばの上をふむ音を耳で聞きながら楽しんでいます。小助も、子グマたちのまねをしながらキャッキャッとうれしそうにおちばをふんでいます。
「おちばあちょび(あそび)、たのちい(楽しい)! おちばあちょび、たのちい!」
おちばであそぶ子どもたちが大はしゃぎする中、近くの草むらにはそのようすをかくれて見ているどうぶつたちがいます。
「へへへ、あれにばけてたっぷりとこわがらせてやるとするかな」
そこにいるのは、人間やほかのどうぶつにばけるのが上手なキツネです。キツネは、小助たちに気づかれないように草むらにかくれています。
もちろん、子どもたちはおちばであそんでいるところをキツネが見ていることをまったく知りません。元気にあそんでいるうちに、小助たちはしだいにねむくなっておちばの上であお向けになりました。
小助たちは、森の中ですやすやと楽しそうなゆめを見ながらねむっています。すると、近くの草むらからゆうれいがあらわれました。
「よくねむっているようだな。おれのすがたにこわがるようすを見るのが楽しみだぜ」
空中にうかんだゆうれいは、おちばにかこまれながらおひるねしている子どもたちに近づこうとしています。さいしょにこわがらせるあいては、小助のとなりでねむっている子グマたちです。
「ふっはっはっはっは、ふっはっはっはっは……」
子グマたちは、ぶきみなわらい声に思わず目をさましました。目の先に見えるのは、白いきものをきているゆうれいのすがたです。
「ほれほれ、よ~く見てごらん」
「うわっ! ゆうれいだ!」
ゆうれいを目にして、クマの子どもたちはあわててにげ出しました。これに気づいたちびっこオオカミたちも、子グマたちにつられながらにげて行きました。
そんな中、小助はかわいいねがおでぐっすりとねむっています。ゆうれいは、小助をこわがらせる前にゆめの中をのぞいて見ることにしました。
「どこに行くつもりなんだ?」
小助のゆめの中では、自分の家の田んぼやはたけのそばをかけぬけています。向かっているばしょは、大すきなカエルたちがいる大きな池です。
ゆうれいは、はらがけ1まいの小さい人間の子どもがねむっている間にぶきみなわらい声でこわがらせようとします。そんな時、小助がねむったままでゆうれいの目の前であんよを上げました。
そのとたん、小助はゆうれいの顔におしっこをめいちゅうさせてしまいました。いきなりのできごとに、ゆうれいはあわてているようすです。
「わっ! おれの顔におねしょしやがって!」
どうやら、小助は元気いっぱいに池の中へ水しぶきを上げながらとびこむゆめを見てしまったようです。小助のおねしょを食らったゆうれいは、その場でキツネのすがたにもどることになりました。
「たのむから、かんべんしてくれよ……」
キツネは、森のおくへいそぎ足で走りさって行きました。これを見たどうぶつたちは、かくれていた大きな木から出てきました。
おちばの上では、さっきまでおひるねをしていた小助がおき上がりました。子グマとちびっこオオカミは、ゆうれいがあらわれてもずっとねていた小助をふしぎそうに見つめています。
「ねえねえ、どうしたの?」
「てへへ、おねちょちちゃった(おねしょしちゃった)」
小助がいるところには、おひるねの時にやってしまったおねしょの水たまりができ上がっています。それを見ながらえがおを見せる小助のすがたに、ほかのどうぶつたちもにぎやかで明るいわらい声を上げています。




