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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
秋のきせつと小助くん
204/343

おすもうたいけつで風のいたずら

「う、う~ん……」


 ゴロ太が目をあけると、自分がどうくつの中であお向けになっていることに気づきました。そばには、小助がゴロ太のほうをじっと見つめています。


「ゴロ太くん! ゴロ太くん!」


 かわいい顔でよびかける小助のすがたに、ゴロ太は大きな池でおぼれていたことを思い出しました。


「小助、おれをあの池からたすけてくれたのか?」

「うん!」


 気の強いゴロ太は、小助にたすけられた自分にたいするふくざつな気もちにつつまれています。ゴロ太にとって、小助はおすもうでぜったいにまけたくないあいてだからです。


「まさか、おれをここまではこんできたのも?」

「うん! うん!」

「そうなのか。ありがとうな」


 ゴロ太は小助にかんしゃすると、すぐにおき上がってどうくつの外がどうなっているか見ることにしました。


「おっ! これならできそうだな」


 山おくへのすさまじい風と雨は、しだいにおさまりつつあります。外のようすを見たゴロ太は、小助としょうぶしようと大きな声をかけました。


「小助! おれとおすもうしようか?」

「わ~い! おちゅもう(おすもう)! おちゅもう!」


 ゴロ太は、どうくつから出ると大きな池の見えるところに木の太いえだで土ひょうを作っています。


「このおすもうで、おれが強いということを小助に思い知らせてやるぜ」

「おちゅもう! おちゅもう!」

「小助にはまけないからな! ぜったいにかってみせるぞ!」


 土ひょうができると、小助とゴロ太はそれぞれ中へ入っておたがいに見合いながらかまえています。


「はっけよい! のこった!」


 強い風がふく中、2人はそろってかけ声を上げるとあいてに組み合うようにぶつかっていきます。小助はゴロ太をりょう手でつかむとそのまま土ひょうの外へおし出そうとします。


 しかし、ゴロ太のほうもありったけの力で小助を土ひょうのまん中まで一気におしもどしました。そこからは、小助もゴロ太も組み合ったままでなかなかけっちゃくがつきません。


 すると、2人のいる土ひょうに向かってすさまじい風がふきつけてきました。あまりにもはげしい風に、小助もゴロ太も組み合った手がはなれてしまうと後ろのほうへとばされていきます。


「わっ! わわっ、わわわわわっ……」


 小助とゴロ太は、すさまじい向かい風にまきこまれて土ひょうの外に2人とも出てしまいました。


「せっかくかてるかもと思っていたのに!」


 ゴロ太は、あまりのくやしさに右手のこぶしをにぎりしめています。そんな中にあっても、小助はかわいいえがおですぐに土ひょうへ入りました。


「おちゅもう! おちゅもう! おちゅもう!」

「しょうがねえなあ。こんどこそ小助にかつぞ!」


 おすもうがいつも楽しみな小助を見て、ゴロ太も土ひょう入りしていっしょにつき合うことにしました。

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