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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏は大ぼうけんのきせつ
198/343

小助くんとすなはまのウミガメたち

 小助とワン太は、大きなしまのすなはまをいっしょに走りかけています。向かう先は、すなはまから出てきたあの生きものがいるところです。


「わあ~っ! カメさんがいっぱい! カメさんがいっぱい!」


 すなはまには、小さなカメたちがつぎつぎと出てきました。そのようすを見た小助は、うつぶせになってカメたちといっしょに歩き出しました。


「うんしょ! うんしょ!」


 小助の耳に入ってきたのは、いっしょうけんめいにすなはまをすすむ小さいカメたちの声です。小さいカメたちのすがたを見つけると、小助はさっそく声をかけました。


「ねえねえ、ねえねえ」

「わっ!」


 小さいカメたちは、あまりにもでっかい人間の子どもに思わずびっくりしてしまいました。はじめて見る人間のすがたを見ようと、小助のまわりにはたくさんの小さいカメたちがあつまってきました。


「どうちたの(どうしたの)?」

「だって、ぼくたちのそばにいるから……」


 ふしぎそうな顔を見せる小さいカメたちの前で、小助は自分でカメになり切って歩こうとしています。小助がすなはまをうつぶせのままですすんでいると、カメたちはふまれないように通り道からはなれています。


「よいしょ! よいしょ!」

「もしかして、カメになりたいの?」

「うん!」


 小助のうごくようすを見ながら、小さいカメたちは自分たちのなかまになりたいという人間の子どもの気もちによりそっています。おかげで、小助とカメたちはすっかりなかよくなったようです。


 そんな時、小助はそばへよってきた小さいカメたちにかわいい声で話しかけました。


「どこ行くの? どこ行くの?」

「ぼくたちは、これから海のほうへ行くの」

「だから、ぼくたちはウミガメとよばれているよ」


 カメといえば、いままで池や川にいるものだと小助は思っていました。けれども、ここにいるウミガメの子どもたちが向かっているのは目の前に広がる海です。


「海へ行こう! 海へ行こう!」

「そんなに海へ行きたいの?」

「行きたい! 行きたい!」


 小助が海へ行こうとうつぶせのままで前へすすむと、後ろからウミガメが声をかけてきました。


「ぼくたちが海へ向かうのは、これから生きのびるために大切なことだよ」

「ここへもどってくることができるのは、ほんのわずかなの」

「それでも、みんなで海の中をすすんでいかないといけないんだ」


 ウミガメの子どもたちは、海の中で生きるためのきびしい道のりをすすまなければなりません。小助はなみうちぎわで止まると、小さいウミガメたちがつぎつぎと青い海の中へ入っていきます。


 そのようすを小助がじっと見ていると、こんどは海のほうから大きなウミガメがすなはまへ上がってきました。そのウミガメは、ウミガメの子どもよりもかなり大きいすがたをしています。


「おや、人間のぼうやじゃないか。どうしたの?」


 大きなウミガメは、おじいさんのようなやさしい声で小助に話しかけました。これを耳にしたワン太も、小助のそばへやってきました。


「海に行きたい! 海に行きたい!」

「そうかそうか、海へ行きたいのか」

「うん!」


 元気な声を上げる小助たちを見て、大きなウミガメは何とかしてかなえたいと子どもたちにことばをかけることにしました。

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