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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏は大ぼうけんのきせつ
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トビにのって大ぼうけんのはじまり

 小助とワン太は、海がどんなものか頭の中で楽しそうに思いうかべています。でも、トビの体は小助たちとくらべて小さいのでこのままでは海へ行くことができません。


 けれども、あることをすれば小助たちがトビにのることができます。


「ぼうやたち、目をつぶってごらん。わたしが合図をするまでは目をあけないでね」


 トビの言うことにしたがって、小助たちは目をずっとつぶっています。心の中では、広い海に足を入れてはしゃいでいるようすを思いうかべています。


「もう目をあけてもいいよ」


 小助とワン太は、少しずつ目をあけてみることにしました。そこには、小助たちとくらべてものすごい高さの岩場が広がっています。


「あれれ? どこ? どこ?」


 岩場のまわりでは、さっきまでいたはずのトビがどこにいるのかさがしている小助くんたちのすがたがあります。その時、つばさをはばたかせて岩場からおりてきた大きな鳥があらわれました。


「わあ~っ! でっかい鳥! でっかい鳥!」

「小助くん、そんなにびっくりしなくても大じょうぶだよ」


 その声に気づいた小助たちがふり向くと、そこにはトビがでっかいすがたで立ち止まっています。


「ふふふ、わたしがでっかくなったわけではないの。ぼうやたちが小さくなったのよ」


 小助とワン太は、自分たちのことをおぼえているトビをじっと見つめています。これだけ小さい体だったら、トビにのっていっしょに行くことができます。


「ねえねえ、のっていい? のっていい?」

「ぼくものりたい! のりたい!」

「しんぱいしなくても、ちゃんとのることができるよ」


 トビのせなかの上には、小助とワン太がまたがるようにのっています。これから空をとび上がる前に、トビが小助たちに一声をかけています。


「とんでいるとちゅうで、手をぜったいにはなさないでね。空からおちたらたいへんなことになるよ」

「うん!」

「これから空をとぶから、しっかりつかまっておいてね」


 小助たちをのせたトビは、大きなつばさを広げて池のそばからとび立ちました。高いところまで一気にすすむと、空中をなんども大きく回るようにとびつづけています。


「わあ~い! 家だ! 家だ!」


 空からは、小助がくらす家や田んぼ、イモ畑をはじめとする山おくのけしきがこの目ではっきりと見えます。トビのほうも、気もちよくとんでいるとあってうれしそうに鳴き声を上げています。


「ピ~ヒョロヒョロ、ピ~ヒョロヒョロヒョロ」


 トビの鳴き声を聞いて、小助はキャッキャッとうれしそうなわらい声を出しています。


「ふふふ、わたしの鳴き声が大すきなのね」

「うん! ピ~ヒョロ、ピ~ヒョロヒョロ、ピ~ヒョロヒョロ」


 小助は、トビになり切って鳴き声のまねをしています。はじめての海へ向かう大ぼうけんは、にぎやかな鳴き声がひびきわたる中ではじまりました。

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