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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏は大ぼうけんのきせつ
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どうもうな犬たちと小助くんのおならこうげき

 カメたちは、小助たちをせなかにのせながら大きな池をスイスイとおよいでいます。小助は、ケモスケといっしょにあそんでみたいと頭の中で思いうかべています。


「ケモチュケ(ケモスケ)くん! ケモチュケくん!」

「ケモチュケくんって、だれのことなの?」

「かいじゅう! かいじゅう!」


 小助は、かいじゅうたちに会うのがまちきれないようすです。でも、カメたちはこわいもの知らずの小助をしんぱいしています。


「おいおい……。かいじゅうってこわいけものだぞ」

「かいじゅう、大ちゅき(大すき)! かいじゅう、大ちゅき!」

「本当なのかな? そのかいじゅうに食われるかもしれないぞ」

「ケモチュケくん! ケモチュケくん!」


 カメたちがどんなことを言っても、小助がかいじゅうに会いたがっていることにかわりはありません。


 そうするうちに、小助たちをのせたカメたちは大きな池の向かいがわへたどりつくことができました。小助とワン太、それにお母さん犬はカメからおりることにしました。


「もういちど目をつぶってから、ふたたび目をあけてごらん」


 カメたちのよびかけに、小助たちはすぐに目をつぶりました。その間、小助はケモスケとあそんだ時のことを思いうかべています。


 小助たちがふたたび目をあけると、さっきまでのっていたカメたちが小さくなっていることに気づきました。


「小助くん、ワン太くん、元にもどってよかったね」


 犬のお母さんは、小助とワン太のことをしんぱいしないはずがありません。お母さん犬が安心するのは、小助とワン太のかわいい顔を見る時です。


 子どもたちがしんぱいなのは、ここまでつれてきたカメたちも同じです。


「山道の先には何が出てくるか分からないから、よく気をつけないといけないぞ」


 カメたちの話がおわると、小助とワン太はすぐにかけ足で森の中の山道へ入って行きました。これを見たお母さん犬も、いそいで走りながら子どもたちの後をおっています。


「そんなにいそがなくても大じょうぶなのに……」


 犬のお母さんが後ろからくる間も、小助たちは元気いっぱいに山道をかけ上がっています。しかし、山道のとちゅうにはおそろしい犬たちがあらわれるばしょがあります。


 そのばしょを目にしたお母さん犬は、小助たちにちゅういしようと大きな声でよびかけています。


「草のしげみに近づいたらダメよ!」


 ワン太は、後ろにいるお母さん犬のそばへ向かいました。ワン太がどうもうな犬たちにかみつかれるすがたを見たくありません。


 そんな中、小助は草のしげみの近くにある大きな木の高いところへとび上がりました。太いえだをりょう手でにぎりしめてぶら下がっていると、草むらからおそろしい犬がつぎつぎとあらわれました。


「小助くん、あぶない!」


 お母さん犬が大声でさけぶ中、小助はとなりの木に向かっていきおいよくとびうつりました。どうもうな犬たちは、太いえだに手がとどいた小助に気づかれないように山道をゆっくりすすんでいます。


 そして、おそろしい犬がいっせいに小助の後ろからおそいかかろうとしたその時のことです。


「プウッ! プウッ! プウッ! プウウウウ~ッ! プウウウウウウウウウ~ッ!」

「うわっ!」

「く、くさい……」


 小助は、元気いっぱいのおならをどうもうな犬たちをあいてに5回つづけてめいちゅうさせています。あまりのくさいおならに、どうもうな犬たちはじめんにたおれこんでいます。


「よくも、おれたちにくさいおならを食らわせやがって……」

「ただですむとは思うなよ」


 おそろしい犬たちは、高い木にぶら下がる小助へかみつこうととびかかってきました。すると、小助はふたたびでっかいおならの音をひびかせました。


「プウウウウウウウッ! プウウウウウウウウウウ~ッ!」

「うげっ!

「本当にくさくてたまらん……」

「に、にげろ! 早くにげろ!」


 どうもうな犬たちは、小助によるおならこうげきの前にすぐさま草むらの中に向かってにげ出しました。


 このようすを、犬の親子は草むらにかくれるように見ています。おそろしい犬たちがいなくなったのをたしかめると、ワン太と犬のお母さんは高い木からとびおりた小助のそばへきました。


「てへへ、いっぱい出ちゃった」

「ふふふ、でっかいおならでやっつけることができたね。元気な子どもは、おならをするのも元気いっぱいだね」


 おならこうげきをめいちゅうさせた小助は、犬の親子の前でいつも通りのかわいいえがおを見せています。

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