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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏は大ぼうけんのきせつ
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カメにのって大ぼうけんのはじまり

 小助はしばらく目をつぶりながら、自分がカメにのって池の中をすすむようすを思いうかべています。


「ぼうや、もう目をあけてもいいよ」


 カメからのよびかけに、小助はゆっくりと目をあけています。すると、さっきまで小さかったはずのカメが小助と同じくらいの大きさになっています。


「わっ! でっかい!」

「はっはっは、わしらがでっかくなったのではないよ。ぼうやが小さくなったんだよ」

「のりたい! のりたい!」

「そんなにあわてなくても、もうすこししたらのせてあげるから」


 小助は、カメにのって早く池の中へ入りたいようです。でも、カメたちは小助といっしょにいる犬の親子をわすれているわけではありません。


「あれれ? こちゅけくん(小助くん)は?」


 ワン太は、小助がきゅうにいなくなったとまわりを見回しています。


「小助くんって、あのぼうやのことか?」

「うん!」

「しんぱいしなくても大じょうぶだよ。目をつぶったら、小助くんがどこにいるかすぐに分かるよ」


 カメたちのことばを耳にしたワン太は、お母さん犬とともに目をつぶっています。しばらくすると、カメたちからふたたび声がかかりました。


「さあ、目をあけてみてね」


 ワン太と犬のお母さんは、そろって目をあけることにしました。目をあけると、ワン太のそばに小助がいることに気づきました。


「こちゅけくん、ここにいてくれてよかった……」


 いつもいっしょの小助がいるので、ワン太はホッと一安心しています。小助は、池の向こうがわを見ながらカメたちにおねだりをしています。


「ねえねえ! あっちへ行こう! あっちへ行こう!」

「この池の向こうへ行きたいのか」

「だけど、向こうにはこわいけものがいるぞ」

「行きたい! 行きたい!」


 小助は、カメたちの言うこわいけものがどんなものか知っています。それは、ワン太も犬のお母さんも同じです。


「しょうがないなあ。向こうまで行ってあげるから」

「せなかのこうらに早くのって」


 これを聞いた小助は、うれしそうに足をピョンピョンとびはねています。


 カメたちは、小助たちがせなかにのっているのをたしかめると池の中へゆっくりと足を入れています。2ひきいるカメのうち、1ぴきは小助が、もう1ぴきは犬の親子がそれぞれのっています。その後ろには、3ひきのカメがいっしょについていきます。


 水の中をすすんでいると、カメが小助たちに何か言おうとしています。


「わしらにのっている間は、声を出しても大じょうぶだぞ」


 これを聞いたワン太は、おそるおそると口をひらくと池の中でもしゃべることができます。お母さん犬のほうも、水中にいたままでワン太と同じようにことばを話しています。


 池の中では、イワナやヤマメといったお魚がたくさんおよいでいます。


「わ~い! おちゃかな(お魚)! おちゃかな!」


 小助は、池の中をもぐる時にこうしたお魚をよく見るので大よろこびです。お魚がつぎつぎと出会うことができるのは、この大きな池がいつもきれいであるおかげです。


「まだ先は長いから、しっかりつかまっていないといけないぞ」


 小助たちをのせたカメたちは、大きな池の向かいがわを目ざして水中をすすみつづけています。

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