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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
春のきせつは楽しさいっぱい
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冬ごもりをおえた子ぐまとリス

 小助がくらす山おくでは、冬の間につもった雪がとけるとともに春がおとずれようとしています。


 森の中へやってきた小助とワン太は、クマの親子とひさしぶりに会えることを今から楽しみにしています。目の前には、子グマたちがお母さんグマの前であそんでいます。


「いっちょにあちょぼう(いっしょにあそぼう)! いっちょにあちょぼう!」


 小助たちは、さっそく子グマたちといっしょにじゃれあいながらあそびはじめました。お母さんグマは、あいかわらず元気いっぱいの子どもたちのようすをやさしい顔つきで見つめています。


「ふふふ、ひさしぶりにあそぶのがうれしいみたいだね」


 冬ごもりからふたたび外へ出てきたのは、クマの親子だけではありません。大きな木のあなからは、リスがひさしぶりに出てきました。


「そろそろあなから出ないと、体がなまってしまうからなあ」


 このようすを見た小助は、リスの顔を見ようと手足をつかって木のぼりをしています。子グマたちは、小助がのぼっているのをうらやましそうに見ています。


「ぼくたちものぼりたいなあ……」


 小助は太いえだのところからとびおりると、子グマたちの木のぼりを見まもることにしました。子グマたちは、小助のかわいい声でおうえんされながら木にしがみついています。


「うんしょ! うんしょ! 木のぼり、うんしょ!」


 子グマたちは、かけ声に合わせるように手足でゆっくりとのぼっています。お母さんグマも、木のぼりをする2ひきのかわいいすがたをじっとながめています。


「いっしょうけんめいに木のぼりをしているわ」


 小助とちがって、子グマたちの木のぼりはまだ上手ではありません。それでも、子グマたちはリスがいる大きなあなの手前へのぼろうとがんばっています。


「よいしょ、よいしょ……」

「も、もうちょっと……」


 こうして、子グマたちはリスのいるところまで自分の力でのぼることができました。木の上では、子グマがあなの中にいるリスに向かって話しています。


「ぼくたちはねえ、はじめてここまでのぼることができたよ」

「わあっ、すごいなあ。でも、クマだったらまだまだ高いところまでのぼれると思うよ」


 リスは、子グマたちの前でさらにことばをつづけます。


「ぼくは、いつもここでくらしているよ。だから、木にのぼったりおりたりするのはお手のものだよ」


 子グマたちは、生まれた時から木のぼりをするのが当たり前というリスのことばをじっと聞いています。そんなクマの子どもたちを見ながら、リスは同じ森のなかまとしてこれからもなかよくすることにしました。


「わあっ、手のひらがでっかいなあ」

「リスの手って、こんなに小さいの?」


 手の大きさは、どうぶつによってそれぞれちがいます。子グマとリスは、おたがいに自分たちの手を見せながらたしかめ合っています。


 小さいどうぶつたちのようすは、大きな木のそばにいる小助とワン太にもつたわっています。小助は、子グマたちのいるところよりも上にある太いえだに向かってのぼりつづけています。


「うんしょ! うんしょ! うんしょ!」


 小助がたどりついたそのばしょは、リスと子グマたちのすがたを見下ろすことができます。そして、自分がいるばしょの太いえだをりょう手でつかんでぶら下がったその時のことです。


「プッ! プッ! プウウウウウウウウウウウウウ~ッ!」

「く、くさい……」

「あまりにもくさくてたまらない……」

「てへへ、おなら出ちゃった」


 小助は、大きな木にしがみついたままで元気いっぱいのでっかいおならをしてしまいました。そばにいるリスと子グマたちは、小助から広がるおならのくさいにおいに思わずはなを自分のゆびでつまんでいます。

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