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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんと雪の中のぼうけん
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冬のおすもうたいけつ(その1)

 はげしい雪の中、ゴロ太は自分をたすけてくれた小助のすがたをじっと見ています。そんな小助は、大すきなおすもうをいっしょにしようとゴロ太の前でおねだりをしています。


「おちゅもう(おすもう)! おちゅもう! おちゅもう!」

「えっ! こんな雪の中でするのか?」


 ゴロ太は、雪がふっている時も元気いっぱいの小助にびっくりしています。小助は、冬の間もはらがけ1まいですごしています。


 そんな小助は、おすもうよりもむちゅうになるものを見つけました。それは、ゴロ太の右手にもっているたいこです。


「わあ~っ! たいこ! たいこ!」

「小助はたいこをたたくのがすきだったな」

「たいこちたい(たいこしたい)! たいこちたい!」

「しょうがないなあ、うまくたたかないと音が出ないぞ」


 小助は、ゴロ太からたいこをうけとるとすぐにばちをつかってたたきはじめました。でも、なんどもたいこをたたいても音をならすことができません。


「はっはっはっは! やっぱり、おれがたたかないとうまく音が出ないようだな」


 ゴロ太は、自分がどれだけうまくたたけるのかを小助の前で見せようとしています。ばちをつかってたたきつづけると、かみなりがゴロゴロと鳴る時の音がきこえてきました。


「ちゅごい(すごい)! ちゅごい!」

「まあ、かみなりならこれくらいできて当たり前だからな。それよりも、小助はおれとおすもうがしたいんんだろ」

「おちゅもうちたい(おすもうしたい)! おちゅもうちたい!」


 小助は、おすもうをするのにぴったりなばしょをすぐに見つけました。そのばしょは、こおりにおおわれた大きな池の上です。


「何もじゃまなものはないけど……。本当にここでおすもうをするのか?」

「おちゅもう! おちゅもう!」


 こおった池の上でおすもうができるのは、ものすごくさむい冬の間だけです。こおりの上はすべりやすいので、おすもうがちゃんととれるかどうかは分かりません。


 それでも、こすけがおすもうがしたいという思いに、ゴロ太もいっしょにつき合うことにしました。


「うまくすべれない……。わっ、わわわっ!」


 ゴロ太がこおりの上をすべるのは、生まれてからはじめてのことです。こおった池に足をのせたとたん、ゴロ太はすぐにしりもちをつくようにこけてしまいました。


 ふたたび立ち上がって前へすすもうとするゴロ太ですが、そのたびに足をすべらせてはしりもちをつくばかりです。


 すぐ近くでは、小助がワン太といっしょにこおった池をすべっています。よく見ると、小助はしりもちをついたままでこおりの上をうれしそうにすべっています。


「キャッキャッ、キャッキャッキャッ」


 自分の足でうまくすべることはできないのは、小助のほうも同じです。それでも、小助はどんなにしっぱいしてもいつもえがおでいっぱいです。


「小助! こおりの上でしょうぶだ!」

「こおりでおちゅもう! こおりでおちゅもう!」


 こおりにおおわれた池の上に何とかたどりつくと、小助とゴロ太はおたがいに顔を合わせるようにかまえています。


「わわっ、こおりの上はすべるなあ」


 ゴロ太は、足がすべりやすいのでなかなか小助のほうへ向かい合うことができません。それでも、自分が強いところを見せようとゴロ太は小助の顔を見合ってます。


「はっけよい! のこった!」


 2人そろってかけ声を上げると、小助はゴロ太のふんどしに手をかけてつかもうとします。しかし、小助はこおりの上で足をすべらせてそのままはらばいみたいにたおれこんでしまいました。


「はっはっは! おすもうをとる前に自分からこけてしまうすがたは……」


 小助のすがたに大わらいしているゴロ太ですが、自分もこおりに足をとられてしりもちをついてしまいました。


「これじゃあ、ちゃんとしたおすもうがとれないぞ」


 ゴロ太は、こおった池から上がって雪の上であらためておすもうをとろうと小助につたえました。こおりの上でしたかった小助ですが、ゴロ太とのおすもうがしたいのでワン太とともに後をついて行くことにしました。

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