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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏のぼうけんと小助くん
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小助くんとケモスケくんのおねしょ

 かいじゅうたちのどうくつの近くでは、小助がじめんであお向けになっているケモスケの上でうつぶせになっています。


「小助くん、ぼくの上にいるのがすきなんだね」

「ケモチュケ(ケモスケ)くん、だいちゅき(大すき)! だいちゅき!」


 小助くんは、あそびあいてになってくれるケモスケとずっといっしょです。でも、空を見るとたいようが西のほうにしずもうとしています。


「そろそろねないといけないなあ」

「ケモスケも、そろそろおねむにしようね」


 かいじゅうたちは、自分たちのどうくつの中に入ってねることにしました。そんな時、ケモスケがお母さんに何か言おうとしています。


「小助くんといっしょにねてもいい?」

「ふふふ、ケモスケはぼうやのことがすきなんだね」


 ケモスケは、外にいる小助をどうくつの中へ入れることにしました。どうくつには、かいじゅうたちがねるためのおふとんがあります。


「ぼうやのおふとんは、ケモスケのとなりにしいておくからね」


 かいじゅうのお母さんがしいているのは、小助の体にぴったりと合う小さなおふとんです。小助は、ケモスケといっしょにねるのが今から楽しみになってきました。


 外のほうは、たいようがしずんだのですっかりくらくなりました。どうぶつの子どもたちも、お母さんのそばでぐっすりとねむっています。


 今日はおすもうをしたり大きな池でおよいだりといっぱいあそんだので、子どもたちはつかれてしまったようです。小助もケモスケも、どうくつの中ですやすやとかわいい顔を見せながらねむっています。




 小助とケモスケはどうくつから出ると、どうぶつの子どもたちといっしょに森の中を歩いています。そこは、小助たちがここから池の出入り口へ向かう山道です。


 この道をすすんでいるとちゅうには、おそろしい犬がひそんでいるのでちゅういしなければなりません。


 そんな時、ケモスケがきゅうにりょう手で前をおさえるようになりました。


「お、おしっこ……」


 おしっこがしたくなったケモスケのすがたを見た小助ですが、そうするうちに自分もおしっこがもれそうになってきました。


「おちっこ(おしっこ)! おちっこ!」


 すぐ近くに大きな木を見つけた小助とケモスケは、かけ足でそこへ向かおうとします。すると、小助たちによびかけるように山の中から声が聞こえてきました。


「ぼうやたち、こっちでおしっこをしたらだめだぞ」


 小助とケモスケは、おじいちゃんのようなやさしい声にとちゅうで立ち止まりました。でも、早くおしっこがしたいという子どもたちのうごきを止めることはできません。


「こっちでおしっこしたらたいへんなことに……」


 自分たちをよび止める声がもういちど聞こえる中、小助とケモスケはガマンしていたおしっこを木のねっこへ向かってしています。


「ジョパジョパジョパ、ジョパジョパジョジョジョジョジョジョ~ッ」


 元気よく出しつづけるおしっこに、小助はすっきりとした顔つきでえがおを見せています。ところが、ケモスケのほうはおしっこをしながら何か気になっているようすです。


「あれあれ? おしりがつめたくなっているような……」




 そう思ったとたん、ケモスケは目をさまして体をおこしました。どうくつの出入口のほうに目を向けると、外のほうから明るい光が入っていることに気づきました。


 どうやら、ケモスケたちがずっとねている間につぎの日の朝をむかえたようです。しかし、ケモスケは自分のおふとんを見ながら顔を赤らめています。


「あ~あ、今日もやっちゃった」


 ケモスケは、自分がねていたおふとんにでっかいおねしょをやってしまいました。となりのほうでは、小助がねむりの中かで目をさましたところです。


「あっ、小助くんのほうもおねしょしているんだ」


 よく見ると、小助のおふとんのほうにもおねしょの地図がえがかれています。小助は、いつものようにおふとんをながめながらえがおを見せています。


「てへへ、おねちょちちゃった(おねしょしちゃった)」


 小助とケモスケがやってしまったおねしょぶとんは、どうくつの近くにある木の長くて太いえだにほされています。ケモスケは、かいじゅうの子どもとあっておふとんのでっかいおねしょをそばから見ています。


「ケモスケ、見事なおねしょをしちゃったなあ」

「ははははは……」


 ケモスケは、お父さんとお母さんにおねしょの大しっぱいを見られたのでちょっとはずかしそうです。そんな中、小助は自分のおねしょをながめながらかわいい声を上げています。


「わ~い! おねちょ! おねちょ!」


 このようすをまわりで見ているどうぶつのお母さんたちは、おねしょしてもいつもえがおの小助のすがたをほほえましそうに見つめています。

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