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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
小助くんのどうくつたんけん
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どうくつのカッパいけ

 どうくつの中を歩きつづける小助たちは、おくのほうからすき通った音が耳に入ってきました。


「このおくにはなにがあるのだろう?」

「おそろしい生きものがまた出てくるのは、本当にかんべんしてほしいぜ」


 どうぶつたちがいろんなことを言っていると、先に行っている小助の目の前が明るくなってきました。その明るさは、どうくつのほのかな明るさとは大ちがいです。


「うわ~い! 見て見て! 見て見て!」


 小助はそのけしきを見ると、はしゃぎながらすぐに大きな声でみんなをよんでいます。このようすに、どうぶつたちも小助のいるそばへやってきました。


 そこに広がるのは、どうくつのいちばんおくにある大きないけです。今まで通ってきたどうくつの中とくらべて、大きないけはかなり広いところにあります。


 大きないけへ近づいて見ると、そこはとうめいできれいな水でおおわれています。かわいいおばけは、なかまの火の玉といっしょに空中にうきながらいけの上をぐるぐるとび回っています。


「いいなあ、ぼくもおばけみたいにとんでみたいなあ」


 子グマたちは、おばけがとび回るのをみてうらやましそうです。なぜなら、ここにいるどうぶつたちは空をとぶことができないからです。


 その間もじっといけを見つめる小助は、自分の右足をいけの水の中へ入れるのをなんどもくりかえしています。


「ねえねえ! 見て見て!」


 小助のことばにふり向いたどうぶつたちは、小助とおなじように足をいけの水につけました。思い思いに水の中に入れると、どうぶつたちは小助が言ったのがどんなことかすぐに分かりました。


「わあっ! 気もちいいよ」

「入ってもいい?」

「あんまりふかいところへ行ったらダメだぞ」


 小さいどうぶつたちのはしゃぎように、それを見まもるサルはどうぶつたちにちゅういしようと大きな声でよびかけています。


 そのころ、小助はいけの中に入って子グマたちと水をかけあったりしています。


「パシャパシャパシャ! パシャパシャパシャ!」

「わあっ! よくもやってくれたな! パシャパシャパシャ!」


 おたがいに水をかけあう小助と子グマたちは、水をかけられてもキャッキャッとうれしそうです。どうくつをすすむのをためらっていたどうぶつたちも、ここまできたら水あそびをせずにはいられません。


「おいおい! リスは体が小さいから遠くへ行ったらダメ!」


 水中に入るというはじめてのたいけんに、サルは小さいどうぶつたちがしんぱいでたまりません。


 そんな小助やどうぶつたちがいるいけのふかいところでは、カメのようなこうらをした人間みたいな生きものがおよいでいます。みどり色の体をしているその生きものは、いきなりいけの中から顔を出してきました。


「うわっ! なんなんだ、あの生きものは?」


 どうぶつたちは、いけからとつぜんあらわれた人間のような生きものにおどろきをかくせません。そんな中にあって、小助ははじめて目にするなぞの生きものを見ながらはしゃいでいます。


「ねえねえ! こっちきて! こっちきて!」


 小助のうれしそうな顔つきに、なぞの生きものはつぶらな目で見つめながら近づいてきました。


「どうくつのカッパいけへようこそ。ぼうやの名前はなにかな?」

「小助! 小助! 小助!」

「はっはっは! こんなにげんきなぼうやを見るのはひさしぶりだなあ!」


 げんきな声を上げる小助のすがたに、カッパもやさしそうな目つきでじっと見つめています。

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