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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏のぼうけんと小助くん
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こん虫のせかいからもどった小助くんとお母さんグマ

 小助は、いろんなこん虫を見ようと元気な足どりですすんでいます。どうぶつの子どもたちも、小助の後ろをついていくように歩いています。


 そんな時、近くの木からミンミンと鳴きつづける声が小助たちの耳に入ってきました。


「わあ~っ! セミさん! セミさん!」


 セミがいるばしょは、小助から見るとはるかに高いところにいます。小助は、木にしがみつくと自分の手足をつかってのぼることにしました。


「うんしょ! うんしょ! うんしょ!」


 小助が少しずつのぼっていくにつれて、セミの鳴き声のほうもしだいに大きくなってきました。セミの大きさは、小助とほぼ同じくらいです。


「ミィ~ン! ミンミンミンミンミンミィ~ン!」


 セミの鳴き声を耳にすると、小助も同じようになり切ろうとはり切っています。そんな小助のすがたに、大きなセミは気になっているようすです。


「はじめて見るやつだな。どうしてここへきたんだ」

「ミンミンミンミンミンミンミ~ン!」


 小助は、セミになり切って元気な鳴き声をあげています。そのようすに、セミも小助のほうをじっと見つめています。


「もしかして、わしの鳴き声をまねしたいのか?」

「うん!」

「はっはっは! わしにまけずおとらずの元気な鳴き声だなあ」


 セミは、小助といっしょにふたたび大きな声で鳴きはじめました。その鳴き声は、木のまわりにあつまったどうぶつたちのほうにもひびきわたっています。


「ミ~ン! ミンミンミンミンミンミンミ~ン!」

「いいなあ、ぼくたちもセミになりたいなあ」


 どうぶつの子どもたちは、セミになり切った小助を見ながらつぶやいています。すると、子グマたちが小助に合わせるようにセミのように鳴こうと声を上げました。


「ミンミンミンミンミンミ~ン!」


 ワン太も、子グマたちにつづいて自分もセミになり切ろうと鳴き声を出しています。森の中では、いつになくセミの元気に鳴く声が楽しそうに広がっています。


 こうして、いっぱいあそんだ小助たちはセミになり切ったままでしだいにねむくなってきました。




「う、う~ん……」


 小助たちが目をさますと、目の前にお母さんグマがいることに気づきました。クマのお母さんは、小助たちのようすをやさしそうに見つめています。


「ふふふ、かわいい顔つきでどんなゆめを見たのかな?」


 お母さんグマのすがたを見て、小助とどうぶつたちはすぐにおき上がりました。すると、小助たちの耳にセミの鳴き声が入ってきました。


 みんなで近くの木へやってくると、そこにはセミがミンミンと鳴いたり、かぶと虫やくわがた虫が元気にうごいたりしているのが見えます。けれども、そこにいるこん虫たちは小助の手のひらに入るくらいの大きさにすぎません。


「あれっ? あれあれ?」


 かぶと虫やくわがた虫とおすもうをした小助にとって、小さいこん虫のすがたがふしぎに思ってしまうようです。そんな小助たちに、お母さんグマがやさしい声でよんでいます。


「みんな、こっちへおいで」


 小助たちは、クマのお母さんの前でよこにならんでいます。お母さんグマは、子どもたちのかわいい顔を見ながらもういちど声をかけました。


「さあ、おっぱいをあげるからね」


 クマのお母さんは、さっそく子グマとワン太におっぱいをあたえることにしました。小助は、自分の番がくるまでじっとそのようすを見ています。


 どうぶつたちがおっぱいをのみおえると、小助はすぐにお母さんグマのそばへきて元気な声でおねだりをしています。


「かあちゃ! おっぱい! おっぱい!」

「ぼうや、またせてごめんね。いっぱいのんでもっと強くなろうね」


 小助は、お母さんグマにだかれながらおっぱいをのみはじめました。こん虫たちといっぱいあそんだので、お母さんグマのおっぱいをたくさんのみつづけています。


 おっぱいをのんでいるとちゅうで、小助はおしっこがしたくなりました。そして、小助はお母さんグマのおっぱいをおなかいっぱいになるまでのみおえたその時のことです。


「ジョパジョパジョパ、ジョジョジョジョジョジョジョジョジョ~ッ」

「あらあら、上に向かっておしっこいっぱい出ちゃったね」


 小助は、おしっこをガマンできずに空中のほうへいきおいよく出てしまいました。元気いっぱいのおしっこが出ちゃっても、小助はうれしそうな顔つきでかわいいえがおを見せています。

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