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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏のぼうけんと小助くん
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小助くんとこん虫たちのせかい(その4)

 かぶと虫とのおすもうにかった小助は、子グマたちやワン太といっしょにじゃれ合いながらあそんでいます。


「うんしょ! うんしょ!」


 小助は、どうぶつたちと楽しそうにおすもうごっこをしています。どうぶつたちも、いつもなかよしの小助とあそぶのが大すきです。


 そんな時、今まで聞いたことがない声が小助の耳に入ってきました。小助がすぐにふり向くと、そこには見たことのないこん虫が立ちかまえています。


「おい! こぞう、こっちへこい!」


 小助は、自分をよんだこん虫のそばへやってきました。そのこん虫は、小助に見せつけようと頭に生えているはさみをうごかしています。


「ねえねえ、何ちてるの(してるの)? 何ちてるの?」

「これはなあ、おれたちくわがた虫がえものをつかまえるためにつかうのさ」

「くわがたむち(くわがた虫)! くわがたむち!」


 いかにも強そうなくわがた虫のすがたに、小助は大よろこびです。そんな小助に、くわがた虫はその場で声をかけました。


「おれとぼうずのどっちが強いのか、今からしょうぶするぞ」

「しょうぶ?」

「ほれほれ、ぼうずはおすもうが大すきだろ」

「わ~い、おちゅもう(おすもう)! おちゅもう! おちゅもう!」


 小助は、くわがた虫と大すきなおすもうをするのがうれしくてたまらないようすです。くわがた虫がおすもうをしようとかまえると、小助も目の前にいるあいての顔を合わせています。


「はっけよい、のこった」


 子グマの合図に合わせるように、小助はくわがた虫に向かっていこうとします。しかし、くわがた虫は小助が自分のほうへ近づかないように頭のはさみをうごかしています。


 小助は、なんどもうごかすくわがた虫のはさみを見るのはこれがはじめてです。いかにも強そうなこん虫のうごきを、小助はきょうみをもって見ています。


「これなあに? これなあに?」

「これか? これはなあ、はさみっていうんだ」

「はちゃみ(はさみ)! はちゃみ! はちゃみ!」

「わっ! わわっ! これはあそぶものじゃないぞ!」


 くわがた虫は、自分のはさみをつかってあそんでいる小助のすがたにうっとうしそうです。それでも、小助はくわがた虫のはさみであそぶのをやめようとしません。


「こぞうめ! ちょうしにのりやがって!」


 おこったくわがた虫は、小助を自分のはさみでむりやりはさもうとします。


「ぐぐぐぐぐっ……。は、はなせ!」

「はちゃみ! はちゃみ! はちゃみ!」


 小助はりょう手でくわがた虫のはさみをつかむと、すさまじい力で後ろの方へ一気になげとばしました。いきなりのできごとに、くわがた虫は自分がまけたことがしんじられないようすです。


「わあ~っ! 小助くん、くわがた虫にもかったんだね」

「おちゅもう、かった! おちゅもう、かった!」


 どうぶつの子どもたちにかこまれながら、小助はうれしそうにピョンピョンとびはねています。そして、いきおいよく空高くとび上がったその時のことです。


「プウッ! プウウウウウウウウウウウウ~ッ!」


 小助は、空中にうかんだままで元気いっぱいのでっかいおならをしてしまいました。おならのにおいは、小助とたたかったくわがた虫やかぶと虫のほうにも広がっています。


「く、くさい……」

「いきがくるしい……」


 どうぶつの子どもたちも、小助のおならがくさくてはなをつまんでいます。


「元気なのはいいけど……」

「みんなの前でおならをするのは……」

「てへへ、出ちゃった」


 おならが出ちゃってもえがおを見せる小助のすがたに、ワン太も子グマたちもタジタジです。

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