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小助くんの小さなぼうけん  作者: ケンタシノリ
夏のぼうけんと小助くん
152/343

小助くんとこん虫たちのせかい(その3)

 小助は、かぶと虫を目の前にしながら向かい合っています。これから、そのかぶと虫をあいてにおすもうをとるところです。


「はっけよい、のこった」


 子グマが合図すると、小助とかぶと虫はそれぞれ相手に向かってぶつかっていきます。小助は何とかしてかぶと虫を前へおそうとしますが、なかなかうまく行きません。


 そんな時、かぶと虫が小助をはねとばそうと自らの角をつき出しました。すぐにのけぞった小助ですが、その動きをかぶと虫は見のがしません。


「おりゃあっ!」

「わっ、わわわわわっ!」


 小助は、いきなりつっこんできたかぶと虫の前に後ろからしりもちをついてしまいました。そのすがたを見たかぶと虫は、自ら大きな声でおたけびを上げました。


「ふっはっはっは! ぼうずの力がどんなものか楽しみにしていたけど、そんなに大したことないなあ」


 自分の強い力を見せつけたかぶと虫ですが、小助はそんなことばを聞いても気にすることはありません。


「おちゅもう(おすもう)! おちゅもう!」

「おいおい、まだやるのか」

「ねえねえ! おちゅもう! おちゅもう!」

「まったく、しょうかないぼうずだなあ」


 小助は、かぶと虫の体にしがみついておねだりしています。そのままはなれようとしない小助のすがたに、さすがのかぶと虫もタジタジです。


 かぶと虫は、小助のためにもういちどおすもうをすることにしました。さっきと同じように、小助とかぶと虫はおたがいに顔を合わせながらかまえています。


「はっけよい、のこった」


 小助は、こんどこそかぶと虫にかちたいといっしょうけんめいになっています。かぶと虫の体はかたいので、前のほうへうまくおすことができません。


「んぐぐぐぐぐっ……」

「どうあがいても、このおれさまをたおすことなんかできないぜ」


 かぶと虫は、じまんの角で小助を強くつきとばそうとします。しかし、小助のほうもぜったいにまけたくないと力いっぱいおしつづけています。


「んぐぐぐぐぐっ! んぐぐぐぐぐっ! んぐぐぐぐぐっ!」


 小助は、今までびくともしなかったかぶと虫をすさまじい力でもち上げようとしています。


「な、なぜだ……。あんなに小さいぼうずが……」

「うぐぐぐぐぐぐぐぐっ! えええ~いっ!」

「わ、わわっ! わわわわわわっ……」


 かぶと虫は、小助にひっくりかえされるように後ろへたおれてしまいました。ものすごく強いかぶと虫にかった小助は、その場でうれしそうにピョンピョンとびはねています。


「小助くん、おすもうでかったの?」

「おちゅもう、かった! おちゅもう、かった!」


 どうぶつの子どもたちもあつまって、小助のまわりはにぎやかになっています。そのそばでは、小助にまけてくやしがるかぶと虫のすがたがあります。


 そのそばにやってきたのは、頭に生えているはさみのような大きなあごをもったこん虫です。そのこん虫は、小助のすがたを見ながらなんども頭のはさみをうごかしています。


「ふっはっはっは! あのこぞうめ、かぶと虫みたいにこのおれをたおせると思ったら大まちがいということを教えないといけないなあ」

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